03 動揺
第10話
「ごめん、寝てた。どうした?」
翌朝、悩んだが、気になって気になって結局崇人に連絡してしまった。
「何でもない!」
崇人からの返事に、送らなければよかったと猛烈に後悔した。
そんなんなら、もういいよ…。
イライラしすぎて、涙が出てくる。
いつまでも崇人にかき回されるのはもう嫌だ。
今度こそ、変わりたい。…崇人じゃない人を好きになりたい。
そう思った時に、月夜に照らされた日野くんが思い出された。
ピロン
夕方になって、日野くんからラインが入った。
「こんばんは。今電話できますか?」
突然の"電話"という選択肢に正直驚いたが、
「うん、大丈夫だよ。」と速やかに送り返す。
ベットの上で体育座りをしていると数分後、本当にコールが鳴った。
呼応するように心臓が飛び上がる。
ひと呼吸ついて、電話に出た。
「…もしもし?」
「もしもし。すみません、急に電話なんて。」
「大丈夫。ちょっと、緊張してうまく話せないかもだけど」
「俺もですから、大丈夫ですよ」
「ありがとう」
電話で聞く日野くんの声は、いつもよりしっとりしていて心地よい。
「それと、昨日も急にすみませんでした」
「ううん。…嬉しかったよ」
「本当ですか?」
「うん、びっくりはしたけど嬉しかった」
「本当は昨日言うつもりじゃなかったんですけど、なんか勢いで言っちゃいました。」
「…うん」
「…そういえば、昨日尾井川とは何の話してたんですか?」
それから、尾井川くんが彼女の前でう◯こを踏んだ話とか、生徒指導の先生に公開説教された話とかくだらない話をたくさんして、いっぱい笑わせてくれた。
昨日のことで気まずくならないようにしてくれた日野くんなりの優しさが嬉しかった。
「じゃ、そろそろ切るね」
「はい、じゃあまた。」
そのまま自分の体をベットに預けて、横になる。
ふと、コルクボードに貼り付けてある写真が目に入った。
最近追加したばかりの青組応援団の集合写真。そこには、可愛い笑顔でピースをする日野くんがいた。
思わず笑みがこぼれる。
日野くんとの距離は確実に近づいていた。
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