第7話

打ち上げが終わり、店の外に出てもダラダラ喋ってその場に残る人は多かった。


なんとなく帰る気にならないのはみんな同じだったようで、「せっかくだから、花火でもやらない?」という凛の提案にみんながのった。


近くのドラッグストアで花火を買って、団長の家の近くの空き地へ移動した。


凛はずっと日野くんの隣にいた。


凛って、こんなに積極的だったんだと感心すらしていた。


「高橋先輩と日野が気になるんですか?」


じっと見ていたからだろうか、突然現れた尾井川くんに言われてしまった。


「違うよ!いや、凛…すごいなと思って」


「えっ、もしかして高橋先輩って日野のこと…。うわーマジか。そっちか。」


「違う違う!私はそんなこと言ってない!」


「いや、その焦り方…。今のはもう、否定できませんよ?」


「はいっ尾井川くんは次の花火持ってきてくださーい!」


「ふっ。分かりましたよ…」

  

私、何をこんなに焦っているんだろう…。 


ふと辺りを見回すと、あちこちで色とりどりの花火と一緒に、みんなの笑顔も咲いていた。


まさに青春の1ページとでもいえる光景。


尾井川くんから花火を盗み取ると、私はその輪の中に飛び込んでいった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る