恋し心を色香にもたせ 散らし紅葉も誰故に
渉と神社で話してからは、少しは息が合い出して、これならいけると千華の中では手ごたえを、ようやく感じるようになり、充足感も湧いていた。
昨日、
そして最終日の三日目を迎え、今まさに締めのおわらを披露する時が来た。
千華は帯に右手を当てたまま、大きく肩で息を吸い、細く長く吐き出した。
泣いても笑ってもこれが最後だ。
だとしたら、最後の踊りの相方が渉で良かった。
何年経っても心から思える踊りを踊って終わらせたい。渉が
程なくして、今年最後の混合踊りの舞台だというアナウンスがあり、続いて三味線と胡弓と小唄の伴奏が始まった。
先に広場に出るのは、
千華は隣の渉を一瞥した。渉はまっすぐ前を向いている。何かの決意を秘めたような、凛とした横顔だ。
前奏が済んだ後、すっと渉は進み出る。
八尾地区でも、花街だった名残を残す
それでも渉が、出番で
広場では前列二人、後列三人に分かれた男衆の男踊りが始まった。
男踊りは、
続いて千華を先頭に、女衆の五人が一列になって広場に出る。
ゆっくり、ゆったり、それぞれ自分の相方の、背後に分かれて
女衆は、唇に紅さすしぐさや、浴衣の
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