第3話 初めての戦争
ダンジョンの入り口をくぐり、真生と竹迫大和は未知の世界に足を踏み入れた。最初に広がる景色は、どこか幻想的で、現実とは異なるような空気が漂っていた。空は淡い紫色をしており、薄暗い雰囲気の中、奇妙な植物や岩が点在している。まるで異世界に迷い込んだようだった。
「すげぇ…これがダンジョンか。まるで冒険映画みたいだな!」
大和がワクワクしたように言う。
「うん、でも…こんな場所、本当に危険なモンスターとかいるんだよな?」
真生は少し不安そうに答えた。
しばらく進んだところで、二人はダンジョンの中で初めてのモンスターと遭遇する。それは、初級者向けと言われる「スライム」だった。体が透明な青緑色をしており、ぷるぷると動きながら近づいてきた。見た目はまったく怖くない。しかし、その動きはどこか不気味で、真生の胸の中に再び不安が広がった。
「うわ、これがスライムか。なんだか、ちょっと気持ち悪いな」
真生は少し顔をしかめながら、スライムをじっと見つめた。
「お前、動けよ。こういう時は一番最初にやらないと、後で後悔するぞ!」
大和は自信満々に言いながら、既に刀のような武器を取り出して構えている。その目は完全に戦闘モードに切り替わっていた。
真生も覚悟を決めて、手に持った小さな木の棒を握りしめた。武器がこれしかないのだ。ダンジョンに入る前に、装備を整える時間などなかったからだ。
「とりあえず、協力して倒すしかないな」
「うん、がんばろう!」
スライムはじっと二人を見つめていたが、次の瞬間、ぷるんと体を膨らませ、素早く真生に向かって飛びかかってきた!その動きは意外と早い。
「うわっ!」
真生は反射的に後ろに跳び退るが、スライムはすぐに体を膨らませて真生を追いかけてきた。
「お前、どうした!早く攻撃しろよ!」
大和が焦ったように叫ぶが、真生はまだうまく動けず、ただ後退し続けていた。
その瞬間、真生のステータス画面が目に入る。戦闘中にふと意識したのは、画面の隅に表示されていた「経験値1000倍」「レベルアップ必要経験値1000分の一」と書かれた二つの謎のスキルだった。
「これ、もしかして…?」
真生は瞬時にそのスキルが何を意味しているのかを理解した。経験値が1000倍ということは、倒した敵から得られる経験値が通常の1000倍になるということ。そして、レベルアップに必要な経験値が1000分の一ということは、レベルアップに必要な量が異常に少ない、ということだ。
その瞬間、真生は心の中で気づく。このスキルは、彼が今まで想像していた以上のチャンスを与えてくれるものであり、この能力をうまく使えば、初心者の自分でも飛躍的に強くなれる可能性があるのだと。
「待って、大和!」
真生は突然、足を止めて大声で叫んだ。
「どうした?」
大和が振り返ると、真生は急に冷静にスライムを見つめ、画面に表示されているスキルを確認していた。
「俺、もしかしたらこのスキルでレベルアップがすごい早くなるかもしれない」
真生は自分でも信じられないほど確信を持って言った。その顔には、普段見せない真剣な表情が浮かんでいた。
「なんだって?じゃあ、早く倒せよ!」
大和は急かしながらも、真生が何かを思いついた様子を見て少し安心したようだ。
「うん、でも…こういうときは…」
真生は木の棒を握りしめ、スライムに向かって走り出した。スライムはまだ油断していないが、真生の目はすでにその動きに慣れてきていた。
「くっ!」
真生は一気にスライムに近づき、棒を振り下ろす。だが、スライムはその動きを軽々と避けてしまう。瞬時に真生の背後から飛びかかろうとした。
「危ない!」
大和が間一髪で真生の前に飛び込むと、素早くスライムを切り裂くように刀を振った。その一撃でスライムは弾けるように消滅し、辺りに透明な液体が飛び散った。
「おお、やったな!」
大和が息をつきながら言う。
だが、真生はその瞬間にハッとした。スライムが倒れた瞬間、画面に表示された経験値が、ものすごい量で増えていたのだ。普通なら、このレベルのモンスターを倒して得られる経験値は少ないはずだが、真生のステータス画面には、1000倍になった経験値が表示されていた。
「これ、すごい…!」
真生は思わず声を上げた。今までの自分では考えられないほど早く経験値が増えていく。
「お前、もしかしてすごいスキル持ってるのか?」
大和が驚きの声を上げる。
「多分…うん。さっき気づいたんだけど、『経験値1000倍』っていうスキルがあるみたいで、これのおかげで俺、すごいスピードでレベルアップできるかもしれない!」
「マジか!それなら、俺もお前に協力しようぜ!どんどん倒して、レベルアップしよう!」
二人はこれからの冒険に対する自信を深め、スライムを倒したことをきっかけに、次々とモンスターに挑んでいくことを決意する。そして、真生の新たな力が、今後どれだけ役立つのかはまだ誰にも分からない。しかし、この一歩が、彼らの冒険の始まりとなったのは間違いなかった。
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