第26話

数日後。

何の問題も無く退院が出来た。


「退院おめでとうございます、エリザベス様っ!」

メアリーがころころと鈴を転がす様に笑う。


学園を暫く休んでいたので、今日からまた登校する事になった。


「エリザベス様、無理はしないでくださいね…」

心配そうに私を見るメアリー。

『大丈夫よ、私は元気だわ、異常も無かったんだから。』


心配性で優しい恋人を見つめながらため息を吐く。

メアリーと私が付き合った…と言うことがどうやら皆に知られているらしい。

メアリーは優しくて良い子だから皆に可愛がられている。そんなメアリーと私が付き合ったなんて知られたら、皆許さないだろう。


重い足取りで教室のドアをくぐる。

すると…

「「おめでとうございます!!」」

なぜか。クラスの皆に祝福されている。どうして…

ちら、とメアリーを見ると、嬉しそうな、照れくさそうな顔をしながら皆に感謝しているようだ。


「おめでとう、メアリー!エリザベス様の事、ずーっと言ってたよね!ホントに良かったね…」

どうやら、クラスの皆に私のことを相談していたようだ。

「良かったなぁ!メアリーちゃん!」

中には感動しているのか泣いている人もいる。


付き合う程で大袈裟な…と思うが、余程クラスがメアリーと私の恋を応援してくれていたのだろう。


嬉しいやら照れくさいやらで、少し感情がぐちゃぐちゃになってしまった。

かぁ、と顔を赤らめていると、不意にメアリーが私の唇に口付けをしてきた。


クラス中から拍手と歓声が沸き上がる。

どうやら、私たちのことを嫌うでもなく、祝福しているようだ。

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悪役令嬢、ヤンデレヒロインルートに強制突入してしまう?! くらげねこ @nekohiyoko

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