第3話 その身に宿るは

「まずは固有魔術を調べよう。」


 そういえば、どうやって調べるのか知らないな。何か特別な道具でもあるのか?とにかくできるまでやるのか?ラントも不思議そうな顔だ。

 

「俺の右手を握れ。そうすればわかるさ。」

黒服の彼は見透かしたように言い、手を差し出す。


 戸惑う僕を横目にラントがその手を掴む。その瞬間、調査員の瞳の色が変わった。いや、ラントと同じ浅葱色になった!?

 驚く僕らを気にも留めず彼は空に向かって何かを放つ。放たれたそれは薄黒く空間を染める。


「ラント、お前の固有魔術は「幻想霧フェアリーガーデン」だ。今みたいに一定範囲を霧で覆い、範囲内であれば大体何でも幻として作り上げることができる。ついでにこの霧の中ではお前以外固有魔術を使えないみたいだ。」


「ちぇっ、攻撃系じゃないのかよ」

ラントはつまらなそうだ。

「いいじゃん!壊魔法に適性あれば一方的に倒せるって!」

「まあ、確かに、それもそうだな!」

あまりにもちょろい。


 そんなラントを放っておいて僕は手を出す。

「僕もお願いします」

「任せな」

そう言って彼が僕の手を握れば、さっきと同じように目の色が変わる。僕と同じ灰色だ。そして彼は空に手を向ける、と思いきや腕を下ろしじっと僕を見つめてきた。その途端に目をかっぴらく。


「こりゃすげぇ、、、こんな魔法ほんとに存在したのか!」

彼はキョロキョロ周りを見ては表情を変える。

「あの、どんな魔法だったんですか??」

興奮気味の彼に尋ねる。

「ああ悪い。君の固有魔法はね「読心イディオット」だよ。視界に入っている人の考えてることがわかる。」

「え、それだけ?」

「うん、それだけ」

まじか、ちょっとショックだな。

ふと、横を見るとニヤニヤしたラント。ムカつくなこいつ。


「は?」

黒服の声に振り返ると、彼は血を吐きだした。


「「大丈夫ですか?」」

僕ら2人は彼に寄る。ただ彼は立ち上がり言う。

「ああ、でも少し休みたい。お前らの村に連れて行ってくれないか。たしか10分ぐらいで着くよな」

「なにを言ってるんですか?ここは村ですよ」

それを聞いた黒服の顔が歪み、両手を上げる。途端に景色が傾き、僕は地面に伏した。眼の色が変わる男以外の2人が僕とラントを押さえつけたようだ。でも、なんで?意味がわからない。


眼の男が、ぶつぶつと何かを唱え、あたり周辺を眩い光で包む。

光が消えると空にヒビが入り、そこから空が割れた。いや、ここ一帯の空間が割れた。そして、僕らの家々が消え、木々だけが周りに見える。理解ができない数秒間に唖然とした僕を見つめ彼は問いかけてきた。


「お前の村はどこだ?」











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せっかくの転生だし世界でも壊そうか @harukiteru4765

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