私は“ただの”高校生
@shi-ro-mu
第1話 転校初日
○○side
「……呼ばれたら入ってこい」
「うぃーす」
私は今大きな扉の前に立っている
その扉の向こうにはどんな世界が待っているだろう
(ワクワクしすぎてにやけそう)
「~……入ってこい」
やっと私の出番だ
(待ちすぎて足痛いし後で文句言ってやろ~)
大好きな飴を口に入れ扉に手をかけた
ガラガラ
「失礼しまーす」
先生のもとに向かい私は教室を見渡した
(ふっ、なかなかいい人たちが集まってるなぁ)
口の中でカランっと飴が鳴った
「一ノ瀬、自己紹介しろ」
「えーっと、一ノ
(この教師頭たたきやがった)
「今日から、クラスの一員となる一ノ瀬だ。変な奴だがこの学園についていろいろ教えてあげてくれ」
ジンジンする頭を押さえながら先生を睨むと
「………一ノ瀬の席は、暁の隣だ。じゃ暁、後は頼むぞ」
そう言って先生は教室を出て行った
先生がいなくなった教室はすこし騒がしくなったが、みんなからの視線が凄い
(興味がほとんどかな…、でも別の人もいるなぁ……そんなことより)
「暁?ってだれ」
「……俺だ。一ノ瀬だったか、席はここだ」
声のする方を見ると顔の整った少年が立っていた
(わ~これがイケメンというやつかぁ)
「教えてくれてありがと~」
自分の席に着き窓の外を眺めていた
自己紹介でああ言ったからか、話しかけてくる人はいないが
「…そんなに見つめられても困るんだけど、何かよう?」
隣の席の少年もとい暁君
改めてみると本当に美形だなぁ
(人気とか凄そう)
「一ノ瀬、放課後時間あるか?生徒会室に来てほしいんだが」
ザワザワ
「暁様が生徒会室に…?!」
「うわ~、いいなぁ」
憧れというかなんというか…
この人はすごい人なのか
「放課後は暇だから全然い~よ~」ニコ
私がそういうと彼は教室を出て行った
生徒会室に行くことがそんなにすごいことなのかなぁ
羨ましがられる程に……
(面倒にならないといいけど…)
「なぁなぁ、一ノ瀬、お前すごいな!」
前の席に座っていた少年に声をかけられた
「俺、
この人とは長い付き合いになるだろう
なんでかわからないけどそう感じた私は
「一ノ瀬翠。私のことは翠って呼んで…あとこれあげる」
大好きな飴を彼の目の前に置いた
「ぷっ、あはは…飴って大阪のおばちゃんやん」
初対面だけど殴っていいかな
そう思いながら悠を見ているとそれが伝わったらしい
「ごめんごめん(笑)ありがたく飴もらっとくわ」ニコ
この人明るいなぁ
てか顔面強いな、悠もイケメン枠か
「ところで、悠、凄いって何が?」
「何って生徒会室に誘われてただろ?」
「それがどうしたの」
ただ生徒会室に誘われただけなのに
「(知らないのか)。翠この学園についてどのくらい知ってる?」
「えーっと、名門校で有能力者をたくさん輩出している学校」
「………そんだけ?」
「…」コク
頷くと悠は学園のことを教えてくれた
「翠が言っていたようにこの学園は名門校。能力育成科ができてからはたくさんの能力者が集まっている。持って生まれる能力にはランクがあるのは知っているよね?」
それはさすがに知っている
人間が持って生まれる「能力」
人口の約8割が能力を持って生まれるというが
その能力にはランクがある
最低でBランクから最高でSSランクまで
ランクが高くなるごとに希少さは上がり
SSランクは人口の1割も満たないらしい
「この学園にはたくさんの能力者が集まるから、全体を統制するため生徒会が作られた。生徒会はSとSSランクの人たちで構成されてて、その一人が暁なんだよね~」
「なるほど…、でも生徒会だからって様付けするものなの?」
「あぁ…それは周りが勝手に言ってるだけなんだけどね、生徒会ってみんな美形揃いだから……」
あぁ、なるほどね
「それってさ、ファンクラブとかあったりする?」
「あるある、中には過激派もいるからあんまり近寄らないことをおすすめするよ~」
過激派…面倒なことにならないといいけど
てか悠もイケメンだし
「ここって能力育成科だよね、クラスって一つだけなの?」
「いや、一応クラスはそれぞれ3クラスずつあるんだけど、それに加えてもう一つ特別なクラスがある」
特別なクラス?
「俺たちがいる特別能力クラス、通称「特能」は能力プラス学力の総合で優秀な人が集まっているクラスなんだ~」
なるほど、優秀な人は優秀な人でまとめられてるんだ
「ここ凄い人たちの集まりなんだね、悠もいるってことは、凄いってことなんだね~」
私がそういうと悠は少し照れながら
「いや~、そうでもないよ。それを言うなら翠の方じゃない?このクラスに転校してくるくらいだから、能力も学力もあるってことだろ?今頃噂になってると思うよ~」
「え、まじで?……最悪なんだけど」
なんでこのクラスに入ったかもわかってないしなぁ
テスト受けた記憶もないし
めんどくさいのだけはまじ勘弁
私が絶望を感じてるとチャイムが鳴った
「これから授業だよね?教科書持ってないから見せてほしいんだけど……って何してるの」
「翠こそ何言ってるの?今日は授業ないから俺らはもう放課後だよ」
え、授業ないの?まじで?
(勉強嫌いだから授業ないのうれしすぎる~!)
「そうなんだ!悠はこれから帰るの?」
「(翠授業ないの嬉しかったんだ笑)ふはっ…俺は委員会があるからそれに行くよ」
悠なんで笑ってるんだろう?
ま、いっか
「そっか、じゃあ委員会がんばね~」
「おー!翠も生徒会ちゃんと行けよ(笑)またあした~」
悠は手を振りながら教室を出てっいった
委員会か…
悠も意外と真面目なとこあるんだなぁ
教室でぼーっとしていると
暁が入ってきた
「一ノ瀬、生徒会室行くぞ」
うん、来ると思ってたけど
「(はやすぎでしょ)……うぃーす」
あまり行きたくはなかったがしょうがなく暁の後ろをついていった
廊下にでたら凄かった
なにがって?もう分るよね
「みて、暁様よ。」
「やっぱり特能はちがうな」
「後ろにいるのって……」
「例の転校生だよな。何者なんだろう」
暁のファン凄いし
めっちゃ見られるし
好奇心が多いけど、やっぱり
(よく思わない人はいるみたい……めんどくさそう)
そうこうしているうちに生徒会室に着いた
「一ノ瀬、少し離れた方がいいかもしれない」
「え、なん………」
気づけば視界が真っ暗になっていた
私は“ただの”高校生 @shi-ro-mu
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