第3話 命の刻印<カウントダウン>
「
すげえ和風だ。
思わず口にする。
『初めまして主様』
突然、機械的な声が聞こえた。レベルが上がったときの音声と似ている。
「喋れるのか?」
『はい。主様』
案内人って……どういうことだ? まさか。
「一体、どういう能力なんだ?」
『超電磁波を使用し、魔法を媒体にすることで、翻訳したり、お伝えすることが可能です。ただし、相応の魔力が使用されます』
「……もっとわかりやすく教えてもらえないか?」
『Si●iみたいな感じっス』
急にわかりやすいな。
え、つまり何でも聞けるってことか? 魔力を使うといっても、さすがに便利すぎないか?
すると、キャロルが不安な表情を浮かべていた。
「スロース様、いったい誰とお話しているのでしょうか?」
「こっくりさんと――もしかして聞こえてないか?」
「は、はい……」
どうやらあなたの脳内に語り掛けていますタイプらしい。
せっかく仲良くなってきたキャロルが怯え始めたので今はやめておくか。
「ちょっとあれだ。自問自答をしているんだ。瞑想の一部なんだ」
「なるほど、でしたら大丈夫です!」
ちょっと単純なところがあるので、キャロルはかわいい。
とりあえず椅子に座ってオレンジジュースでも飲んでもらって待ってもらうことにした。
聞きたいことは山ほどある。
しかしまずは――。
「こっくりさん、
『
閉じる……?
そんなの、原作でも聞いたことないぞ。
「閉じるとは、どういう意味だ?」
『魔法を使えなくする。魔力を練られなくする、というものです』
この世界は異世界を元にしている。
魔力が使えなくなれば、当然だが魔法は使えなくなる。
それって、最強じゃないか!?
つまり強制的なぜつ――いや、これはやめておこう。
使い方を尋ねてみた。
『対象に手を触れながら『
そんな簡単なことだったのか。
しかし嫌われ男スロースでは他人と話すこと、触れ合うこともできない。
いや、キャロルがいる。
「キャロル、ちょっといいか?」
「はい。なんでしょうか?」
「今から魔法を使いたい。でも、危害を加えたいわけじゃないんだ。能力の確認がしたい」
怖がるかと思ったが、キャロルは微笑んだ。
「お気を遣わないでください。私はスロース様のメイドです。命令してもらえればいいんです」
「……できるだけ、無理強いはしたくないんだ」
「本当に変わったのですね。――もちろん、構いませんよ」
微笑むキャロル。おそるおそる肩に触れた。
やわらかくて、ドキッとする。
いや、そんなことは今考えるな。
「――
その瞬間、生まれて初めての感覚が手に集まった。
水みたいなのが、身体の中で泳いでくる。
それはやがて指先に達し、次の瞬間、キャロルに入り込んだ。
しかし彼女は何も感じていないらしい。
感覚が終わったものの、何も起こらなかった。
どういうことだと思っていたら、キャロルの頭に数字が書かれていた。
「4500……?」
『こちらが魔力数値です。ゼロになると、魔力が一定時間使用不可能となります』
そいうことか。
いやでも、カウントダウンなのに減ってないぞ?
『ダメージを与えると数値が減ります』
なるほど、そういうことか。
てか、脳内でも会話できるのか。初めからこうすればよかった。
いやでも、ダメージって……。
『殴る蹴る、かみつき、引っ張り、ビンタ、引きちぎり、斬る、アルゼンチンバックブリーカーなどで攻撃すると、数値が減ります』
最後だけやたら具体的なプロレス技だったのは気になったが、実にわかりやすい。
しかしこれ単体で倒せる能力ではないということか。
とはいえ、この魔法世界においては圧倒的な能力だ。
さすが【セブン・デットリー・シンズ】開発陣。実におもしろい能力をスロースに与えたものだ。
ちなみにアルゼンチンバックブリーカーは、相手を持ち上げた後、自身の膝に打ち付け、背骨から腰の辺りにダメージを与えるものだ。これはどうでもいいが。
「スロース様、大丈夫ですか?」
「ああ、すまない」
少し悩んだ後、俺はキャロルに能力のことを話した。
ダイエットについてもここまで手伝ってくれたのだ。できる限りの事は伝えたい。
「でしたら、私に攻撃をしてもらって大丈夫です。もちろん、アルゼンチンバックブリーカーでも」
「ありがたいが、それはダメだ。メイドに手を上げるなんて、ありえない。当然、アルゼンチンバックブリーカーも」
練習だとしても、それでは以前のスロースと変わらないからな。
「大丈夫です。こう見えて強いんですよ。アルゼンチンバックブリーカーでも、きっと大丈夫です!」
「ダメだ」
……そうだ。
スロースの屋敷から少し離れた場所に、領地を守る私兵がいたはずだ。
彼らは常日頃から訓練しているし、俺が手合わせをしてくれといっても問題ないだろう。
むしろ、身体を鍛えようとしているとほめられるのかもしれない。
そこで試してみるか。
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