伊達政宗に転生したおれは全てを託す

夕日ゆうや

武将 伊達政宗の真実 ※この作品はフィクションです。

 あの夢を見たのは、9回目だった。

 この世界、真実の戦いを俺は見た。



 昔昔。

 伊達政宗が天下無双を果たしていた頃の話。

 実は彼は優れた武将だったのである。


 布団に潜り寝ている隙を甲賀の忍者が襲おうとした時

「何奴!」

 伊達は布団返しをし、忍者の放つ手裏剣を全て回避した。

 そして布団の裏から飛び出ると、忍者の懐に入り斬り伏せた。

「ふん。この天下を統一するのは力あるもの」

 だが攻撃は止まらない。

 他にも忍者がいたのだ。

 忍者の放つ手裏剣をひらりひらりとダンスでも踊っているかのようにかわす伊達政宗。

 全員を組み伏せた頃、ようやく仲間が押し寄せてきた。

「遅いわ」

「申し訳ありません」

 部下は平服し、すぐに忍者を縄で縛る。

 あれはひなまつりの頃の話だった。

 忍者はおれの命を狙った。

 だがおれには通じない。

 おれをあこがれとする者も多いと聞く。

 しかし妖精の加護を受け、この時代に転生したおれは様々な科学を利用しのしあがった。

 天正14年だった。


 転生もののラノベは読み漁ったため、マヨネーズや二毛作といった現代技術を広く世に解き放った。

 結果、多方面の信頼と勝利を飾ったが、ここで人の悪意を知ることとなる。

 人は妬み、憎むものだ。

 おれのこの命も長くはない。

 息子の秀宗に全てを託したが、未だにおれを狙う陰がある。

 忍者の差し金以降増えた、闇討ち。


「秀宗よ。おれのワガママを聞いてくれるか?」

「あの桜の木にトリが降臨すれば聞きましょう」

「冗談で言っているわけじゃない」

 その言葉に緊張が走る。

「どういった、御用向きで?」

「この宮城の地をどうか変えてくれ」

「変える?」

 分からないと言った様子で首を傾げる秀宗。

「そうだ。誰もが人の未来を愛し、受け止める……力なくとも天下無双を果たせる日のくることを」

「父上?」

「心のままに生きよ。わが息子よ」

 秀宗はどう答えていいのか分からずに涙を拭う。

「お前は優しい子だ。民草ともに生きよ」


 おれはそう言い残し、一番死の近い戦場へ赴く。

「まだみぬ子どもたちのために!」

 合戦が始まると同時、おれはそう叫び進軍した。

 この世の戦乱など現代社会にはなかった。


 真の平和を望むからこそ、この世の不条理を知った。


 この世界に必要なのは愛だった。

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伊達政宗に転生したおれは全てを託す 夕日ゆうや @PT03wing

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