第2話 保憲編 幸子
明日から連休で
保憲の家はこの学校からほど遠くない場所にある
家にいては自立できないと
自由が無い寄宿舎生活の方が家よりマシなのだ。
保憲は図書室で机に頭を乗せ国史をペラペラと眺めていた。
この国は陰陽師と神が収めていた。
その考えを
人が増えるにつれ政治やインフラ、民に必要な組織ができていった。
今は明確な
土属と水属の家がインフラや医療、火属、金属が産業や金融
木は文化といった感じで別れていた。
断片的に内容を拾いながら自分の思いやり考えに蓋をした。
結局、『属』で分けられないのだ。だが築き上げた
他属から入った者は上にいけない
家の
絶対ではないが、まぁ難しい
親友の
この国を収める神ノ
どの組織もだが、上に立ち楽をしたがる者が出る
そうして五行の一族は長年かけて政治に入り込んだ。
清治は狙われる側の人間だ
保憲は考えていた。
(自分は
清治は自分の事を友人だと思っているのだろうか
支える側に
自分は生まれながらに悪役の運命なのか・・・)
「國破くん」
頭上から声がした。そちらの方を見上げると
最近良く見かける女学生が立っていた。
自分とは違いキョロキョロと良く動く生命力のある瞳
少しうねった髪を後ろにまとめている髪飾りなど付けている。
気は強そうな美少女だ。大人の落ち着きはない
「
一年前母の
幸子は一呼吸してから話し出した
「明日 あなたの14歳の誕生日ですよね 貴方のお父様への
ご挨拶と今後の話し、ついでに貴方の誕生日を祝いに家に行きたいのです」
保憲「今後って?」
幸子は恥ずかしそうに小声になり
幸子「貴方と私の結婚式の日取りとか?」
保憲「エッ 結婚式」
図書室の司書が咳払いする
保憲「外に出て話そう ちょっと本をかたづけてくる」
外に出ると茜の空にひぐらしが鳴いていた。
保憲「幸子さん 結婚式とはなんのはなしですか?」
幸子「5年前にお父様達が約束した許嫁の件です」
保憲「すみませんが 昨年、僕の方から正式に貴方のお父様にこの話し
白紙に戻して欲しい
幸子「私は納得していませんし、父は私が望むのなら
保憲と結婚してもいいといってくれた。何を考えての破談なのですか」
保憲がため息を吐く
(あの親父、娘を売ってのし上る気だなぁ 僕が一方的に断ったから
穂積の家に恥をかかせたとかいう気か? 娘が結婚したいというのだからと
押し切るつもりか? 何方にせよ、國破家は常人が関わって良いよう
なそんなまとな家じゃ無いんだよ)
「幸子さが納得のいく理由とはなんですか、
僕は最前線での
僕はいつ死ぬか分からない身の上です
結婚してもすぐ
貴方のお父上は僕の言い分に納得されたから婚約の破棄に
下さったのです」
幸子「でも、惜しいって!保憲はいい男だって」
保憲は冷めた見下すような眼差しで
「貴方は僕が好きだとでも?
貴方は流行りに流されやすい方だとお見受けします
先日の模擬戦見学していましたよね あの後
僕は何人かの女性に声をかけられましたよ
貴方もそんな女性のウチの一人なのかと思っています
僕にとって終わった話を
いつ死ぬか分からない、よく知りもしない男性と結婚したいとか
貴方の趣味付き合っていられない」
幸子は自分の浅はか考えを見透かされたようで、涙が溢れてきた。
女の子を泣かせ焦った保憲はいった
保憲「僕は学校でやる事があるので、家に戻る予定は無いんですよ
来られても困りますので」
幸子「予定はなくても明日より宿舎はお休みです 嘘ばっかり
それに私ここ数日で貴方に声をかけた方達よりも貴方のこと
+好きですから 明日、家の方に伺います」
幸子は泣きながら家に帰っていった。
保憲は慌てて図書館を出てきため
手に持ったまま
(明日は14歳の誕生日 13歳の誕生日
父の実験室で頭部と体が切り離された母の遺体を見つけた。
家の者は皆 父がやったと知っている、が世間では変質者の仕業となっている)
保憲「・・・・見捨てる訳にいかない・・・よな 面倒な」
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