第8話
なんだかんだ考え込んでしまい、思った以上に寝不足で入学式を迎える事になってしまった。
とりあえず、今日は晴れてくれたようでなによりだ。
初日から雨だと単純に濡れてテンション下がるからなー。
ともかく、真新しい少し大きめのブレザーを身にまとう。
ぶっちゃけ前世の自分が中高生時代に学ランだったかブレザーだったか、どっちかだったとは思うが上手く思い出せない。
だからこそ、ブレザー姿の自分が新鮮に思えて自然と気分が上がって来た。
……いや、もしかすると今世の自分がイケメンだからかもしれないな。
ちなみに、今世の俺は瘦せ型で、入院する前でもぶっちゃけ病人なイケメンって感じだったのだ。
が、退院後は頑張って食べた。
美味しい美味しいって言ってたら餌付けされたっても言うけど、滅茶苦茶食べたおかげで健康的な見た目に慣れた訳だ。
うん、流石に今後は必要以上に食べるのは止めよう。
折角格好よくなってネットで見たガリガリ君から卒業したのに、今度はネットのデブ豚君になっちゃう。
とまれ、あの美女の息子であり美少女達の兄弟だなって分かる、クールイケメンが鏡の中の笑顔を作った。
おおう、平均――より少し劣るくらいだった前世の容姿からすると段違いだな。
まあ、この世界基準だと平均よりちょっと良いかな? くらいかもしれないけど。
いや、男に限ればガリやデブばっかりのせいで、実はイケメン枠に入れるかも?
って、そんな事より――
「やべぇ、ヘアセット楽しくて止められねぇ」
顔を洗って歯を磨き、休みの内に買っておいたワックスを付けて髪の毛を弄ってみると、これがまあ楽しい。
クールなのが似合うのは勿論、爽やかな感じでもワイルドな感じでも、オールバックな感じにしても似合う。
今まで髪型の事なんか全然気にしてなくて、男にしては少し長いくらいに髪の毛が伸びちゃってるけど。
だからこそ色々といじり甲斐があって、なお楽しいのだ。
いや、これならもっと伸ばしても似合うだろうし、短髪でも、いっそ坊主にしても似合うかもしれない。
俄然興味が湧いてきた!
「まー君、そろそろ準備し終わらないと遅刻しちゃうよー!」
「あっ、柚姉ちゃんごめん! もうちょっと待ってー」
流石に髪の毛弄ってて遅刻しましたはない。
名残惜しい気持ちがないでもないが、ささっと爽やかな印象な髪型にセットして待たせているであろう柚姉ちゃんと宮小路さんの元へと急ぐ。
それにしても、前世の女性ってなんであんな無駄に髪の毛弄るんだ? なんて思ってたんだけど。
そりゃ弄るよね、だって楽しいもん。
「そう言えば、柚姉ちゃん髪の毛サラサラで奇麗だけど、何か手入れしているの?」
「えっ? 奇麗? 嬉しいなー。って言ってもトリートメント付けてるくらいしかやってないよ。なになに、まー君も興味あるの?」
「うん。今朝初めてワックス付けてみたら楽しくて。今まで知らなかったなー」
しみじみとそんな風に呟けば、柚姉ちゃんが『まー君似合っているよ、格好いい』って褒めてくれる。
いやー、なるほどね。
こりゃやばいね。
自分が興味ある部分を褒められるとこんなに嬉しいんだな。
とりあえず、柚姉ちゃんへはありがとうと返しておく。
しかし、前世の女性達。ちょっとイケメンに外見褒められただけで、ほいほい付いて行きやがってなんて思ってごめん。
魅力的な異性に外見褒められたらくらっと来るわ。
ぶっちゃけて、嬉し恥ずかしいって感情が渦巻いてるな。
もしかしたら俺がちょろすぎるって言う可能性もあるけど、でも柚姉ちゃんみたいな美人さんが満面の笑みで嬉しそうに褒めてくれるって、そりゃもう反則だと思う。
俺みたいな健全な男は勝てないって。
って言うか、よくよく考えたら前世で女友達に褒められたら嬉しかった。みたいな事があったような気がする? 程度にぼんやりと思い出した。
別に前世の女性達限定の事じゃなかったな。
いかんいかん、時間と共に落ち着くかなって思ってたけど。なんか俺ずっと情緒不安定だなぁ。
なんでだろう?
そんな疑問が頭をよぎるものの、いつの間にかしれっと俺の手を握って来た柚姉ちゃんの手を握り返してやる。
「えへへー、繋いじゃったねー」
何この可愛い生物?
はっ、俺の姉だった。
いやはや、遠慮なくくしゃっと心のままに笑顔を浮かべてくれるのって、なんかやっぱり良いなー。
そう言えば、前世の頃女は泣き顔が一番そそるし最高だぜ! なんて言ってた友人が居たが、俺はこういう笑顔が一番好きだし素敵だなって思うな。
うん、前世だと笑顔好きの俺は生涯独身っぽかったけど、泣き顔好きのあやつは彼女切れた事ない上に、ちゃんと幸せな家庭作ってたっぽいけどな。
――あれ? でも、なんか修羅場って多様な記憶もあるような気がするぞ。
……ダメだな。前世の事は思い出せない事の方が多いし、仮に思い出せてもぼんやりとしていることが多いから何とも言えない部分が多すぎる。
ともかく、余計な事を考えるより柚姉ちゃんと楽しく登校する方が大事なのでそちらに集中する事にした。
ちなみに、宮小路さんは良い感じに距離を取って俺達と一緒に来てくれてるぞ。
俺と柚姉ちゃんとのやり取りの邪魔にならないよう、でも、ちゃんと保護官としての役目を全うできる位置で周囲を警戒してくれてたった感じだ。
たまに気になってちらって視線を向けたら、絶妙な距離感を保っててくれてたし、ついつい柚姉ちゃんと話すのに集中し過ぎて赤信号を渡りかねなかった時、しっかり教えてくれたからな。
これだけ配慮してくれるなんて、自然と好感度は上がるってもんだ。
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