第32話  教えて、美咲先生


 成長の仕方ってなんだろうか?


「成長ってどうするものなんだ?」


 美咲ちゃんがうーんと顎に手を当てている。


「過去の自分と比較して優れたところが一個でもあると成長ですね」


 めぐりは美咲ちゃんの言うことを聞いた瞬間、ぱぁーって目を光らせて始める。


「甘えるの上手になったねぇー、歩夢くん」


 俺はめぐりになでなでされ始めた。

 なんだか甘える対象が単に母親からめぐりに変わっただけなような気もするが。


「歩夢先輩に必要な能力はメタ認知ですかね」


「メタ認知ってなんだ?」


「自分で自分のことを客観視することです、例えば、幽体離脱して自分を斜め上から自分を別人としてみることとかですかね」


 美咲ちゃんが解説してくれた。 


「日常を異なる視点から見せることで、観客の思考の枠を広げるって意味だとお笑いとかもメタ認知です」


 美咲ちゃんがそう言って笑顔を見せた。


「お笑いが得意な人はメタ認知が非常に得意ってことか?」


「そうですね、正解です、歩夢先輩!」 


 美咲ちゃんが微笑んだ。

 それに合わせて、鈴奈も微笑む。


「というわけで、兄様、お笑いをしましょう」 


「いきなりだなっ!」


「台本ならパジャマパーティの時に作ってあります」 


「前から思ってたけど、鈴奈お前は一体何なんだ?」 


「と言うわけで、兄様、これが台本です」


 俺の話を鈴奈は聞いておらず、急に始めることになった。


消防車


鈴奈「消防車ってなんで赤いと思います?」


歩夢「目立つからだろ?」


鈴奈「はぁー、安直ですよ、太陽の色が赤色だっていうぐらいに安直ですよ」 


歩夢「お前も安直だろ! 太陽を黄色っていう文化もあるだろ!」


鈴奈「そこはわざとボケましたよ」


歩夢「わざとかよ! ややこしくすんな」


鈴奈「それでは、消防車が高い理由を特別に教えていたします」 


歩夢「おう、急に真面目になったな、わかった、教えてくれ」


鈴奈「炎タイプがポケモンで赤色ですよ」


歩夢「びっくりするほど安直だよ!」


鈴奈「いいですか、消防士さんたちはあの暑いの炎に負けない熱い情熱を心にかかえてるんですよ」


歩夢「急にどうした?」


鈴奈「体力もすごくいる体育会系です、それぐらいじゃなきゃ炎に勝てない、炎に勝つにはメラメラと燃える熱いハートです! だから消防車は赤色なんです!」


歩夢「全部間違ってるけど、すごい圧!」


鈴奈「ここまではボケなんですけど」


歩夢「またこのパターンかよっ!」


鈴奈「厳密には、消防車が赤いのは、道路運送車両の保安基準という運輸省令っていう法律で定められてるですかね」


歩夢「そうなのか」


鈴奈「これはボケじゃないですよっ!」 


歩夢「いちいち言わなくてもいいよ」


鈴奈「きっと法律定めた人は炎タイプだから赤って決めたんですわ」


歩夢「しつこいなっ!」


鈴奈「兄様、これはボケですよ?」


歩夢「分かってるわ、もういい加減付き合ってらんねぇよ、ありがとうございました」


美咲ちゃんがふむと頷いた。


「とにかくテンポが早くてついてけないですね」


めぐりはほんわかと笑ってる。


「面白かったよ、2人って仲良いね」 

 

 美咲ちゃんは首を横に振る。


「それから歩夢先輩、肩の力が入りすぎです、エフォートレス思考で行きましょう」


「え、なに? エフォートレス思考? 翻訳すると、あんまり努力しない思考って意味だろうけど」


 美咲ちゃんがチッチッチと指を動かす。


「エフォートレス思考って効率の良い努力がありますが、私のおすすめは欲しい結果を明らかにしてから行動することですね」 


「君何者なの? 美咲ちゃん」


 俺がそう言うと、鈴奈が肩をポンポンと叩いてきた。


「兄様、美咲さんは戦略家ですよ?」


「そうなんだろうけど、俺が言いたいのは高校生なのによく知ってるね、そんなことってことだよ」 


 美咲ちゃんが目を伏せた。


「ママに苦労しまして」 


「お察しいたします」


 そうとしか言いようがなかった。


「やってみてどうでした? 歩夢先輩」


「会話なのに人に見られながら、自然体の会話みたいなのをしなくちゃいけないのが難しかったわ」


「いいですね、歩夢先輩。そんな感じで自分を他人事として捉えることをこれを契機に増やしていくといいと思いますよ」


「兄様、あと10本漫才がありますんで付き合ってくださいね」


 鈴奈がとても楽しげにしていた。

 ちなみに漫才中めぐりは終始笑っていて、今もなお笑っているので発言ができていない。

 おかげで漫才はやりやすかったが、鈴奈の発言は笑えないものだった。

 俺が笑えない中、なんとかお笑いをこの後もやった。

 めぐりの笑い声が響き渡るのだけが心の救いだった。


◆◆◆あとがき、お礼、お願い◆◆◆


ここまでお読みいただきありがとうございます。


というわけで、美咲ちゃんといつもの鈴奈のお話でした。


もし、


鈴奈ちゃん大好き、元気で可愛いよ


めぐりちゃんお嫁さんになって、大好き


美咲ちゃん素敵だね、いつもありがとう


漫才も面白い


と思ってくださいましたら、


♡、☆☆☆とフォローを何卒お願いいたします。


レビューや応援コメントを書いてくださったらできるだけすぐ読みますし、返信も速やかに致します。


次回は歩夢くんとめぐりちゃんがまったりデートします。


引き続きお楽しみくださいませ。


次回の公開日は5月30日6時頃です。

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