第33話  めぐりと歩夢はまったりする

33話 めぐりと歩夢はまったりする


 めぐりと今日もデートだ。

 お家デートだけど。


「あーんっ」


 めぐりがスプーンを差し出してきた。

 ぱくっ。

 めぐりの食べているパフェの一部を俺は食べる。


「甘いなぁ」


「私、歩夢くんを甘やかしてるもん」


「俺とめぐりさ、彼氏彼女になっても前になってもあんまり変わらないよな」


「それの何が問題なの?」


 めぐりは不思議そうに首を傾げている。


「いや、そんなことはねぇけどさ」


 一緒にいるだけで落ち着く関係。

 とても素敵なものだが、なんかしてあげたいという気持ちもずっとあるのだ。


 めぐりがちょんちょんと頬をつついてくる。

 なんだかくすぐったい。


「歩夢くんに聞きたいことがあるんだけど、いいかな?」


「いいぞ、それでなんだ?」


「どんな家庭にしたいと思ってるの?」


 めぐりは俺の目をじっと見つめている。

 

「その前に俺の恋愛観を話していいか?」


「いいよ」


 めぐりはこくりと頷く。


「そもそも俺、自分がものすごくハイスペックで完璧な彼女が欲しいなんてこれっぽっちも思ってなかったんだ、めぐりが彼女だからいまいち説得力ないんだけどさ」


「もう歩夢くんったら」


 めぐりは恥ずかしそうに体をくねらせる。

 顔も真っ赤っかだ。

 めぐりは褒めると意外と照れるからそう言うところは素直でめちゃくちゃ可愛い。


「そもそも芸能人みたいに顔が良くて、しかも性格も良くて、頭も良くて、完璧な彼女を手に入れようってつもりはなかったんだ」


「私を褒めても何にも出ないよ」


 めぐりはぷくっーと頬を膨らませる。

 怒るところなのか?


「でも、そういうロマンみたいなのを求める男の人は多いと思うけど歩夢くんはどんなスタンスだったの?」   


 めぐりは話を促してくれる。


「合う人を少しずつ見極めるつもりで、理想を追って待つんじゃなくて、出会いを広く受け入れ、そこで好きを育もうと思ってたんだよね」


「結構、無難なことを言うね」


「まぁ、そこまで恋愛強者だなんて自分のこと思ってなかったからなぁ」


 幼馴染がめぐりっていうアドバンテージがデカすぎただけだ。

 なぜか、義妹に後輩もめちゃくちゃハイスペックな超絶美少女だが、一旦そのことは置いておく。


「ある程度顔が好みで、一緒にいて落ち着いて、親友感覚でいられる関係性、お細かく言うと、互いの違いを受け入れられるぐらいがいいと思ってたんだよなぁ」


「素敵な考えだと思うよ」


 めぐりはほんわか笑う。 

 本当に完璧な彼女だよなぁとつくづく思わされる。 


「顔が完全に無理、一緒にいて疲れる、違いを受け入れる理性を持ってないとか極端に嫌な人じゃなければよくて、人から好かれる自分を目指して、その中から結婚してもうまくいきそうだし、愛を育めそうだなぁって人と家庭を作りたいと思ってたんだよね」


「それはそうだよね」


 めぐりはこくりと頷くとニヤッとした。


「私たちは相性いいみたいだね」


「ありがたいことにな」


 本当にありがたい。


「めぐりはすごく可愛いし、気もきくし、違いも受け入れてくれるし、めぐり以上の彼女を求めるのは贅沢以外何もでもないし、めぐり以上なんてこの世に存在しないさ」


「だから褒めても何も出ないってば!」

 

 俺の頬を人差し指でぐにぃーと押してくる。

 やっぱりめぐりは可愛い。

 照れ屋なんだよなぁ、意外と。


「めぐりはどうだったんだ?」


 俺の話ばっかりだったからめぐりの話を聞きたくなった。


「私はそもそも人を好きになるなんてできると思ってなかったんだぁー」


「なんかめぐりっぽいなぁ」


 めぐりは遠い目をしている。


「いっぱい告白されたけど、なんで? 外見だけでしょって思ってたし」


「冷めてるなぁー」


 あまりにめぐりが告白を断るので、「めぐりの100人斬り」は有名だった。


「そんな私がね、歩夢くんにママになって欲しいって言われたときだけキュンとしたの」


「なんか、恥ずかしいなぁ」


 今となってはちょっとした黒歴史なんだが。


「あれが今考えると恋だったのかなぁ?」


「そうなのか?」


 めぐりは強く頷く。


「私、人生であんなに頑張ったの初めてだもん」 


「剣は?」


「抱月母刀の習得だけは少し頑張ってるけど、それでもいつもやってることの延長線上だから頑張ってる気はしないなぁ」


 めぐりは平然とそう言ってのけた。

 稽古量はすごいんだが、本人が当たり前になってしまえば、なんでもないのかもしれない。


「ありがとね、歩夢くん」


「え、急にどうした、めぐり」


「私、変われたよ!」


 めぐりはニコッと笑う。

 そうして顔を近づけてきた。

 ちゅっ。


「こんなふうにね!」


 めぐりはまたニヤリとしている。

 まるで子供がいたずらに成功したような笑顔だった。


「いつも急だなぁ」


 またしてもキスをされた。

 タイミングが全く読めない。


「ね? 前の私と違うでしょ」


「そうだな、もっと可愛くなったな」


「大好きだよ、歩夢くん」


 めぐりはほんわかと笑う。

 今度は俺が近づく。

 静かに、できるだけ優しく口づけをする。

 ちゅっ。


「うん」


 めぐりは頬を桜色に染めて俯いた。

 こんな可愛い彼女がそばにいて、すごく幸せだし、ありがたいことだなぁと改めて思う俺だった。


◆◆◆あとがき、お礼、お願い◆◆◆


ここまでお読みいただきありがとうございます。


というわけで、歩夢くんとめぐりちゃんのデート回でした。

 この2人だけの話ってかなり久しぶりでは?


もし、


めぐりちゃん大好き、かわいいもう結婚したい


めぐりちゃん大好きだよーーーーー!


この話も素敵でした


と思ってくださいましたら、


♡、☆☆☆とフォローを何卒お願いいたします。


レビューや応援コメントを書いてくださったらできるだけすぐ読みますし、返信も速やかに致します。


次回はまた鈴奈がふざけます、というか、ふざけまくってます、まぁ終盤はふざけた話が減ってくるので勘弁してください。


引き続きお楽しみくださいませ。


次回の公開日は5月31日6時頃です。

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