第31話  ちはるの心、親の心、子知らず

 あれをすればよかった。


 これをすればよかった。


 毎日、振り返るたびにそう思う。

 後悔が止まらない。


 子育てに100点満点はない。

 子供がいれば苦労する?

 そんなの当たり前だ。


 自分の親だって苦労していた。

 自分の時間なんてものはない。

 それが無性に辛くなることだってある。

 でも、母親を止めることはできない。


 ずっと走らなければならない。

 それでも、疲れている時って自分の子供の声にイラッとすることがある。


「オキシトシンって赤ちゃんの鳴き声を聞いても快感に感じる作用があるみたいだよ」

 そんなことを聞いたことがある。

 余計に子供を可愛がるようにした。

 辛いのを忘れるために。

 助けてくれる人がいない。

 話を聞いてくれる人がいないという状況の中、歩夢くんのお世話を1人でやる。


 それは自分が想像していた以上に寂しかった。


 よく考える。

 私は過保護なんじゃないかと。

 もしかして、過干渉なんじゃないかと。

 でも、分からない。

 誰も正解がわからない。

 もしかしたら間違えているかもしれない。 


 私のできることはただ走るだけ。

 私なりに歩夢くんを全力で愛するだけ。

 ちゃんと愛が伝わってないかもしれない。

 それが怖くて怖くてしょうがない。


 だから、私は大好きを毎日伝える。 


 それが私の母親としてすべき最低限のことだから。


「まぁまぁ、大変なものを見てしまいましたわぁ」

 鈴奈がわざとらしく大きな声を上げていた。


「俺は見ないからな」


「そうですわね、これは見ない方がいいですわね、ちはるお母様も1人の人間だったんですね」


 鈴奈がうんうんとうなづいている。

 何で鈴奈は楽しそうなんだ。


「これはめぐり姉様と美咲さんと会議をしなければなりませんね」


「そんなに大事なのか?」


 俺がそう聞くと、鈴奈は力強くうなづいた。


「大事ですわ、電話しなければ」


 そう言って、鈴奈はスマホに手に取る。

 ぷるるるる。 


「あ、もしもしめぐり姉様、来てください」


「いいよ」


 めぐりの声が聞こえた。


「それでいいのかよっ!」


 本当にめぐりと鈴奈が仲良いことが改めて確認できた。


 美咲ちゃんとめぐりがうちにやってきた。


「兄様のマザコンの原因はちはる母様にもあります。ちはる母様が苦しんでます、私たちはどうすべきでしょうか?」


 鈴奈がいきなり問題を切り出してきた。


「鈴奈ちゃん、どうって言われてもバブみじゃないんですか?」


「それが通じないから兄様は重度のマザコンなんです」


 鈴奈は美咲ちゃんのいうことをバッサリ切った。

 いや、義妹にそんなことを言われるの恥ずかしいわ。

 めぐりがそろっーと手を挙げる。


「私、歩夢くんの奥さんになる予定なんだけど、これじゃダメなの? 鈴奈ちゃん」


「奥さん!」


 美咲ちゃんは顔を赤くして、両手で顔を覆っている。 


 一方、めぐりは淡々としていた。

 めちゃくちゃいつも通り。

 お嫁さん宣言をここまで堂々とされると、なんか逆に恥ずかしいな。


「いいえ、めぐり姉様、兄様のマザコンを舐めてはなりません」 


 鈴奈はぶんぶんと首を振った。 


「あらぁー、女姦しいわね、どうしたのかしら?」


 母さんがやってきた。 


「ちはる母様に勝つにはどうしたらいいかを話し合ってます」


 鈴奈がドヤ顔で言っていた。

 美咲ちゃんはギョッとした顔を見せる。

 横でめぐりはニコニコしていた。

 母さんはというと……。

 めっちゃ笑顔だった。


「楽しそうね、いつでも受けて立つわ」 


 母さんはとても幸せそうな顔で鈴奈を撫で始めていた。

 鈴奈のもっとドヤァーっとしていた。

 あいつは可愛がられる天才だな。


「夕飯の支度をしなくちゃ、いっぱい作るわよ

みんな食べてってね」


 鈴奈を撫でるのに満足したのか、母さんはルンルンでキッチンに向かって行った。


「パジャマパーティをしましょう」


「いいね」


 めぐりがこくりと頷いた。


「急ですよ、パジャマ持ってこないと」


 美咲ちゃんは困った顔を見せていた。

 一応、気になることがあるので聞くことにしよう。


「本題はどうなったんだ?」


「乙女の秘密です」


 鈴奈は唇を指に立てていた。

 その後、その関連の話はされることはなく、女姦しい感じがひたすら続いた。

 たまにはこんな日もいいなぁと思う俺だった。


◆◆◆あとがき、お礼、お願い◆◆◆


ここまでお読みいただきありがとうございます。


というわけで、ちはるさんのお真面目&いつもの鈴奈のお話でした。


もし、


鈴奈ちゃんかわゆす


めぐりちゃん大好き


美咲ちゃん愛してるよ


この話面白い


と思ってくださいましたら、


♡、☆☆☆とフォローを何卒お願いいたします。


レビューや応援コメントを書いてくださったらできるだけすぐ読みますし、返信も速やかに致します。


次回は美咲ちゃんが活躍するけど、鈴奈がめちゃくちゃふざける回です。

我ながら、鈴奈を溺愛しすぎているような気がしますが、まぁ第2部で彼女が登場してかは話の流れが彼女1人のおかげでだいぶ変わったわけですよ、ここまで読んでくださる方は鈴奈のことを私と一緒に可愛がってくださってることでしょう。そうは言ってもメインヒロインはめぐりちゃんですけどね、溢れ出る正妻感、笑

引き続きお楽しみくださいませ。


次回の公開日は5月28日6時頃です。








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