誤解されたままは嫌だ
カシ夫
誤解されたままは嫌だ
「やるじゃん、カズマ。
すっげー噂になってんぞ」
マジか。
それは全くのデマだって。
いや、ちょびっとは合ってるけど。
「聞いたよ、カズマくん。
アマネちゃんちから朝帰りなんだって?」
うわあ、最悪!
まさかヒナちゃんまで噂信じてんの?
これ絶対にナナセちゃんも知ってるってことじゃんか。
「だってさ、ナナセが言ってたよ?
今朝、アマネちゃんちからカズマが出てきたって。
私服だったんでしょ?」
「は? え、マジで?
私服つーか、あれパジャマだけど……
ナナセちゃんが噂の発信源?」
「そうだよ?
ナナセねー、なんかすっごい怒ってたよ?
カズマくんナナセに何かした?」
「えー、全然心当たりないけど……」
ナナセちゃん、そんな朝早くから何してんだよー。なんでアマネんちから出てくる俺を見てんだよー。
「ほら、カズマ、カノジョが来たよん」
やめろ、その言い方。アマネは彼女じゃない。アマネにはハジメっていう中学からの彼氏がいるんだからな。
「カズマ、昨夜は本当にありがとね。
これ、お礼だよ」
「あ、うん。ありがとう」
こらー!
クラス中でヒューヒューするな!
ナナセちゃんが俺を
最悪だ。俺、早退したい……
「
勘違いすんなよ、向こうも迷惑だから」
「もおー!
あいつー、とか言っちゃってー!
ヒューヒュー!」
「彼女じゃないってことは、あれじゃん?
一夜の過ちってやつ?」
バカ男子ども、みんな爆発しろ。口笛できないからって「ひゅうひゅう」言うな。
ほら、ナナセちゃんが変な目で俺を見てるじゃんか。
あんまりお客さんのこと喋っちゃいけないんだけど。まあいいか、アマネとは保育園からずっと一緒の
「アマネんち、うちの三軒隣でお客さんだから。
「だったら何でカズマが朝アマネちゃんちから出てくんだよー」
「誤魔化すなよおー」
「かっけー、『一夜の過ち』!」
あー、マジでバカ男子ども。
「昨日の夜!
アマネんちの!
給湯器が壊れちゃったの!
アマネのお爺ちゃんが!
風呂入ってるときに!」
いいか、クラス中よーく聞いとけよ!
「今朝!
アマネのお母さんから!
道具の忘れ物があるって!
電話がきたんだよ!
だけどうちのお父さんは!
朝イチのお客さんとこ行く準備中で!
取りに行く時間がなかったの!
それで俺が取りに行ったの!
たぶん俺んちにも!
アマネんちからお礼貰ってる!
今朝俺がパシリしたから!
アマネが俺にもお礼預かってきたの!
生後四か月から!
保育園で一緒だったから!
小中九年間!
クラス一緒だったから!
名前も呼び捨てなの!」
へー、そうだったんだー!
すげー、みんなの声が揃った。おもしれー。
「って言うか、ナナセちゃんはどうして俺を目撃したの?」
これくらい、追求してもいいよな?
「あっ、ウチは部活の朝連で。
アマネちゃんちの前は通学路だから」
「え、そうなんだ」
「あのね、えっと……
ウチんち富士見台だから、電車より自転車が近くって」
知らなかった。
ナナセちゃんがチャリ
そっかあ、じゃあ俺んちの前も通ってるんじゃんか、ラッキー!
ベランダに干してる俺のパンツ見られてんじゃんか、アンラッキー!
「ごめんね、変な噂流しちゃって」
「大丈夫。
てか、なんか怒ってたって?
俺何かしちゃった?」
「えっ……
……それは――」
えっ、ヤバくね?
これ泣く? 泣かせちゃう?
「馬鹿カズマ、察しろ!」
「カズマ、マジかー」
えっ、なんで周りが焦ってんの?
えっ、えっ、えっ?
「ヒナぁー」
「えー、ナナセ、そうなの?」
なんだ、なんだ、訳わからん。
「だって、カズマくんとアマネちゃんがそういう間柄なのかと思って……」
「だから違うって」
えー? なんだなんだ?
ヒューヒューやめろ、男子も女子も!
「カズマくん、女の子に言わせちゃダメだって」
あ、そうなの?
え、マジで?
本当に?
本当に?
めちゃ嬉しいんだけど。
ナナセちゃーん!
誤解されたままは嫌だ カシ夫 @NEXTZONE
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