第2話 聞き間違いだよなあああ!?
「やったね奏多!かっこいい!」
「奏多さんならこのくらい当然ですわ!」
「お姉ちゃんがよしよししてあげる!」
バルバロッサを無事に倒した俺は、パーティ三人に揉みくちゃにされていた。
「うん、君ら一体何のために来たん?」
結局俺一人で戦ってたんだが。いつもの事だし、まあいいんだけどね。でも魔王戦ぐらい真面目に戦おうよ…。
ううむ、それにしてもこの三方向からおっぱいに挟まれる感触。何度味わっても極上の柔らかさ、モチモチ感。たまんねえべ。
ギンギンになりそうな息子を、何とか股間に力を集中して無理矢理納めこむ。ちなこれは俺が長年修行して得た特技の一つな?
気を抜くとすぐにこれだよ。せっかく魔王倒した一応は英雄なのに、こんな所で息子をおっ立たせてたら格好がつかないからな。
俺自身は性欲はあるし、むしろ強い方だ。気合いとくぅちゃんへの想いで紙一重で貞操を守っていただけなのだ。
でも今日でこの三人に会うのも最後かあ。
そう思うと急激に込み上げてくるものがあるぞ。あっやばい…泣きそうになってきたかも。
勿論このおっぱいとお別れするから泣きそうなんじゃ無いからな?
クロエ、イクシス、ロザリアは俺の大事な仲間だ。そしてこの世界に来てから初めてできた親友でもある。そりゃ寂しくもなるさ。
乳に挟まれながら出会いから今までの事、それらの思い出が走馬灯のように頭の中を駆け巡ってきた。
そしてついに頬を一筋の涙が――
流れ落ちなかった。
よー考えたら思い出がほとんどおっぱいなんだもん!仕方ないよね!おっぱい!
そんなバカみてえな事を考えていると、突如目の前に魔法陣が現れた。一瞬新手の敵か?と身構えたが、俺たち勇者パーティにとっては見知った紋様だったので警戒を解く。
サラサラ金髪ロングを靡かせながら登場したのは、顔見知りの女神ヴィネラ様だ。おおお、やはりいつ見ても美人で神々しいお姿だ。
思えば、この世界で初めて会話したのもヴィネラ様だったなあ。それ以降はたまーに要所要所で出てきてアドバイスくれたりしたっけ。
ロザリオはなんちゃってお姉ちゃんだけど、こっちは本当に少し年上のお姉さんって感じだ。
おおお今日も今日とて、胸元が大きくはだけているぞ!先端まで後少しだ。眼福眼福。この世界の美女はみんな巨乳なんだよな。なんでかは知らんけど。
ヴィネラ様はおっぱいをガン見する俺に向かって語りかけてきた。
「こんの変態童貞っ!!……あーこほんこほん。勇者一ノ
ん、今思いっきり変態童貞と聞こえたのですが。ヴィネラ様は物凄くお淑やかな女性だ。魔王を倒した後だし、俺も疲れていて聞き間違えたんだろう。
ヴィネラ様はすぐにいつも俺達に見せてくれるような笑顔になって言葉を続ける。
「これでこの世界にも平穏が訪れることでしょう。勇者奏多よ。貴方の願いは前に聞いた通り、飼い猫のくぅを人間にする事でよろしいですね?」
「はい。俺の願いは変わってません。くぅちゃんと恋人になる事です」
「本当に、本当にそれでいいのですか?私に出来るのは人間にしてあげる事だけですが」
「はい。くぅちゃんは俺の事が大好きですから(キリッ)」
「ププっこの勇者wwwおっといけないいけない。……貴方のその固い決意、しかと受け取りました。私がその願いを約束通り叶えてあげましょう」
今思いっきり嘲笑されたのも気のせい?よっぽど疲れてるのかな。今日の女神様はなんだか変だぞ…。
まあ何であれ俺の願いは変わらない。暫くするとヴィネラ様の元に凄まじい光のオーラが集った。そしてそれを天に掲げ――
「せいやあああああああああああああどっこいしょおおおおおおおお」
女神様が地鳴りのような低い雄叫びを上げた。え?こんな感じなの?
「はあ…はあ…ぜえ…ぜえ…終わりました。これでくぅは無事に人間となりましたよ」
「え?今ので終わりっスか?」
「ええ、終わりました。ふふっ、よかったですね。くぅは貴方の大好きな胸が大きくて超がつくほど美少女ですよ」
「マジっスか!!!」
やっほい!くぅちゃんであるなら見た目なんてどうでも良かったが美少女である事に越した事はない。しかも巨乳とな。流石くぅちゃん!流石我が子!!
「貴方を元の世界に戻すまであと少しだけ時間があります。その間共に戦った仲間達と別れの挨拶を」
俺が小躍りしている間に転移用の魔法陣を用意していてくれていたみたいだ。
でもこれで本当にクロエ達とは会えなくなるんだよな…。
見ればクロエ達三人は顔をくしゃくしゃにして号泣していた。
そんな姿を見たらいくら俺だってもうふざける事なんてできないじゃないか…。涙で前が見えないよ…。
「奏多!『少し』の間お別れだね…」
最初に胸に飛び込んできたのはクロエ。その底知れない優しさに何度救われただろうか。少し意地っ張りな所も大好きだぞ!
「奏多様!『すぐに』また会いに行きますわ…」
次はイクシス。何やかんやで一番人間味のあるお前が大好きだぞ!でもお金の事ばかり考えないようにね!
「奏多ちゃん!『用が済むまで』待っててね!泣いちゃだめよ…?」
最後はロザリア。お姉ちゃんぶるのに、実は一番子供っぽくて泣き虫なお前が大好きだぞ!こんなお姉ちゃん、本当に欲しかったなあ。
何故か皆すぐにまた会えるかのような言い方だが、これで本当に最後なんだ。
けどこの三人は離れていても俺の最高の仲間だ!最高のダチだよ!
一生分の友達を得て、一生分のおかずも同時に得た。辛い毎日だったけど、得た物はそれ以上に遥かに大きい。一生オ◯ネタに困る事もないだろう。
絶対に皆の事は忘れないよ。この先何があっても。ていうか皆のおっぱいを忘れる事なんざ誰にも出来るわけがないさ。
一人一人と涙の熱い抱擁を交わした後、静かにその様子を見守っていたヴィネラ様に声をかけられた。
どうやら元の世界に帰る準備が出来たようだ。
「別れの挨拶は済みましたか?」
「はい…ヴィネラ様」
「では、こちらへ」
俺は発光し始めた魔法陣の上に乗った。すると途端に光が大きくなる。
さようなら皆。これで本当に最後だ。
ありがとう。
「「「くぅちゃんによろしく(ですわ)!」」」
おう。当たり前だ。とことん彼女に語り尽くすぜ。俺は最後は涙を堪えて、笑顔で手を振った。
おっと、最後にヴィネラ様にもありがとうくらい言っておくか。
「ヴィネラ様もありが――」
「ごっめーん奏多くん!なんかね、猫ちゃんの時から聞いてたんだけどぉ、実はくぅちゃんは貴方の事すっごく嫌いみたいなのっ!相思相愛だと思ってるの奏多くんだけ見たいだぞっ!やる気無くして魔王倒してくれなくなったら困るし、今頃言ってごめんちゃいっ!てへぺろ☆」
は?
聞き返す暇も無く、俺の身体は光に包まれて意識を失った。
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