人の家って、どうしても緊張してしまいますよね。


15000PVありがとうございます!



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ちょっと強引すぎちゃったかも⋯。


私こと白澤しらさわ あおいは目の前にいる少女を勢いで自分の家に誘ってしまった。

今考えると、少し強引だったかも…?


私がこんなにも彼女のことを気になるのは、多分姿だと思う。

なぜ今更忘れたと思っていた記憶が蘇ったかわからない。

申し訳ないとも思うし久しぶりに見れて嬉しくも思う。そしてその度また、突然消えてしまうのではないかと、考えてしまう自分がいる。


『⋯離して』

「あ、ごめん」


無意識に彼女の手を握ってしまっていたらしい。


ナンパから助けてくれた時から、相変わらず冷えきってる表情な彼女。多分、この子はそのことを知らなかったのかな。私が表情について言及した時は今知ったように話していた。


私の視線は彼女の足へと行く。

靴を履いてない上にとても細く、まるで棒のような、そんな足。


先程、彼女はお金が無いと言ってけど、家があまり裕福ではなくあんまり食べられていないのだろうか?

何か家に食べ物あったかな…?そんなことを考えつつこのまま無言ってのも気まずいので何か話しを振る。


「スマホの使い方って⋯わかる?」

『⋯わからない』


淡々と言いながら首を左右に振る彼女。興味がないのかな。けど、知らないのなら好都合。

心の中で「よしっ!」とガッツポーズを決める。


「もしよかったらなんだけど、私がしばらく使い方教えても⋯いいかな?」

『⋯え?』


多分この子も、私と同じで人と話すのが得意じゃないからいきなりこんなこと言われても困ると思うんだけど⋯私としてはこの子と仲良くなりたい。


姿形、性格こそ違えどどうしても昔の友人に見えてしまう。これが何を意味してるかはわからないが、私にとってはとても嬉しいこと。


無表情で氷のように凍てついて表情が動かない子。

外見から察するにろくな生活をおくれていないのはわかるんだけど⋯。

何より気になるのは、表情乏しい理由。何かがあったのは分かるけど内容とまではいかない。


『──白澤、さん?』

「あ、どうしたの?」

『⋯何か、考えていたようだから⋯』

「ごめんごめん⋯ちょっと⋯ね、そんなことより早く行こう?」


そう私が言うと、彼女が『⋯ん。』と言いながら頷いた。初めて会った時から思ってたけど…可愛い⋯。





「ここが私の部屋だよ」


彼女を連れて、私達は私の部屋まで来た。

人を私の部屋へ連れてくるなんて久しく小さな子なのに私は少し緊張してしまう。妙にこの子大人しいし…


「の、飲み物お茶でいいよね?お茶入れてくるね!」

『ん』


私は、逃げるように部屋から去った。








白澤さんはお茶を入れてくると言い、部屋から出ていってしまった…緊張する…。

私はとりあえずベットに座り、緊張を紛らわすように、私は部屋を見る。余計に緊張してしまったのは言うまでもないけど。


白澤さんの部屋は可愛らしくピンク色で可愛いベットと横に小さなめ机、カーペット、勉強机と本棚、ぬいぐるみを置いていたりしており女の子そのものな部屋をしていた。

そんなことを考えていると、扉が開く。


『お茶持ってきたよー手作りのお菓子余ってたから持ってきたんだけど…いる?』

「…ありがとう、お菓子は…」


て、手作り!?どうしようかな…。お腹の足しになるし…もらっておくかな?


「お菓子も、もらう」

『そ、そっか…あんまり美味しくないけど、許してね』

「…大丈夫」


美味しい美味しくない以前の問題だから、特に問題ない…あれ?なんか長居しそうな雰囲気なんだけど…


『スマホはどこかなぁっと…』


そういいながら白澤さんはスマホを探し始めた。

どうやらお菓子は、クッキーみたい。

味が分からないことを少し申し訳なく思いながら、ちまちまと食べていた。…相変わらず、わからない。


「…なに?」


白澤さんの方をみると、私の方をじっと見ていた。クッキーでもついてたかな?


『…あ、いやなんでもないよ』


そう言う白澤さんは少し沈んだ表情をしていた。


『それより、クッキーの味は、どうかな?』

「……」

『お、美味しくなかったかな…?』


私が少し返答に迷っていると、不安げな声で言われてしまった。


「…お、美味しかった…」

『そ、そう…?』

「ん」


白澤さんは安心したように言う。私は表情が出ないらしいし、バレる心配もないからひと安心。それより…


「…スマホは、見つかった?」

『あ、そうだった…見つかったけど…充電が切れちゃってて…』


困ったように言う白澤さん。充電が切れてるってことは、使えないということだろうか?困ったね…


「それじゃあ…また、今度取りに来る」


もう、来ることないだろうけど…もう用もないし、いる理由はないよね?

そう言い、私はベットから降りて立つ。


『ま、まって!?』


また腕を掴まれてしまった…この人は、慌てると腕を掴む癖があるのかな?


「今度はなに…?」

『あっと…ほ、ほら!スマホの充電してるから…さ!待っててくれないかな!?』

「……」


……なんで、この人はこんなにも私に執拗にかまってくるのかわからない。助けてくれたお礼ならスマホってことで充分すぎるぐらいなのに。もちろん、もう来る気もないけど…


「…なんで」

『?』

「なんで白澤さんはそんなにも、私にかまうの?」


恩を感じてるだけならスマホをあげることもましてや部屋にあげるなんてことする必要は無いと思うんだけど…何かあるのだろうか?


『そ、それは…』

「なんで?」

『…わ、わかった!…言うよ!』


覚悟したかのように、白澤さんは語り始める。


『昔、友達がいたんだ。その子とは仲がよくて、すごく大事な人だったのに、ね……何があっかわかんないけど、行方不明になっちゃって…そのまま見つからずに、死亡判定になっちゃったんだよね。その子と…頭がおかしいって分かってるんだけど、きみがその子の姿と重なっちゃって…もう忘れたと思ってたんだけど、違ったのかなぁ…なんてね…ははは…』



自分の過去を語った白澤さんは手を強く握りながら、我慢しきれなかったのか涙を流していた。

…とても、大事な友人だったのだろう。私に似てた理由についてはこれっぽっちもわからない。



私は彼女のそっと頭を撫でる。前世で、家族によくしてたっけ…。


『…っ』


懐かしいなぁ…家族が悲しそうにしていた時は、なんて言葉をかければいいかわからないから、とりあえず頭を撫でていた。

白澤さんは、驚きつつも、嬉しそうに撫でられていた。何だこの子、可愛すぎないだろうか?


『…ありがとう、もう大丈夫だよ』

「…ん」


『やっぱり、似てる』

「?」

『あの子も…私が泣いちゃってる時、頭をずっと撫でててくれたの』

「…そうなんだ」


そんなこと言われても…なんて言えばいいか困るんだけど??とりあえず落ち着いたようでよかった。


『…』

「…どうしたの?」


なんか急にもじもじとし始めたんだけど…なんだか頬も赤いようだし…


『いやぁ…こんな小さな子に、慰めてもらっちゃって…恥ずかしいなぁ…なんて』


確かに私は身長が小さいけど…伸びてないだけで、…多分歳はそう変わんないと思うんだよね。

…20年とか経過してなければ。大丈夫だよね??いや、きっと大丈夫。


「…私と白澤さんの歳は、そう変わらない…多分」

『…多分?私は今、16歳だよ?きみは?』

「…えっと」


…私って結構、失言多いよね。連れてかれた時期とか覚えてないよ…大体10年だと思ってるけど、直感だからわかんない。


「…ん、っと…私も…16歳」

『え!?そ、そうなの!?』

「…ん」


紛らわせたかな?


『学校とか…いってるの?』

「…行ってない」

『そっか…』


学校とか、懐かしいな…あんまり行ったことなかったけど、授業内容わかんないし友達いないし虚しかったのは覚えてる。

なんて悲しい学生生活だったのだろう。


『学校とか…行ってみたいとか、思わない?』

「……」


学校…ねぇ…特別行ってみたいとかは思わないね。どうせ行ったとて授業はわからないし、それ以前に私には家がない。そんな状況でいけるはずもないしね。…お金は、まぁ何とかなりそうな雰囲気あるけど…頑張れば。思うか思わないかなら、


「…思わない」

『ほ、ほら…学校は楽しい…よ?行ってみてもいいんじゃない?ほら、親御さんとかに聞いて…』


なんかやけに誘ってくるなこの子…別にお金なら魔物を狩り続けたらなんとかなるし、学力だって……小学校低学年レベルだろうなぁ…。悲しくなってきた…


「…そんなにその子が、好きなの?」

『え!?そんなことないよ!?』


顔を赤くし、手をブンブンと横に振る白澤さん。

可愛らしいなあ。


『それもそうだけど…そうじゃなくて!きみが気になるの!!』

「…私が?」

『…いろいろ気になるの!君のことが』


私に指をさしながら恥ずかしげに言う白澤さん。深い事情を話してないのと昔の友人に似てるのが原因だとは思うけど、そこまで気になるものなのだろうか。私にはわからないことだろう。


『そ、それより!スマホの操作教えるね?まだあっちのスマホはできてないから、私ので…』


紛らわすようにスマホをさわる白澤さん。早く帰るためにも、教えて貰っといた方がいいのかも。






そうして色んなことを教えてもらった。時間が見れること、便利なアプリのこと、地図のこととか。そんなことを教えてもらっていたら、外は昼光色から綺麗な夕焼け色へと変わっている。時間も遅いようだし、そろそろ私は帰った方がいいかな


「じゃあ私は、もう帰る」

『わかった、今日はありがとうね』

「ん」


そうして私は帰ろうと玄関まで行き、外へ出た。すると──


『あ、まって!』

「…ん」

『ま、また…会えるかな』


もじもじとしながら白澤さんは期待と不安の混じった目をしている。


「…死んでなければ、また会えるかもね」

『…! そ、そっか…ありがとう、また会おうね!』


微笑みながら手を振る白澤さん。少し悲しげな表情をしていたが、考えていることは分からない。

ただ何かを決意したような瞳をしていたのは私でもわかる。それがなんなのかはわからないが、きっといいことなのだろう。


「今日も、空は綺麗だな…」


オレンジ色から徐々にピンク色に変わりゆくだろう空は今日も相変わらず綺麗だ。

そろそろ私はするべきことを考える時期なのかもしれない。















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