第17話

 ノリと勢いと俺は対決するのは知ってたからスルーしてたけど圧倒的に不利だよね?


 原作だとドッジボールだったから勝てたけど今回はゲーム対決、これはまずいかもしれない。


 え、これ負けたら部室をゲーム部の奴らに渡すんだよな?ここで負けたら俺らはどこで部活をするんだ?


 やばい、なにがなんでもゲーム部の奴らに勝たないと。


 待って、俺以外のオカルト研究部の奴らは不思議に思わなかったの?どうして大人しく従ってるの?


 勘弁してよ〜、こういう時だけ原作通り進めようとするのは。


 じゃあ俺はこいつらを信じて応援するしかないな。


「気合い入れてけ相棒!」


「おうよ、親友!」


 仮に早乙女と新色が勝ったとしても残されたのが俺と久田ちゃんとフミちゃん先輩。


 これ…、もう詰んでるくね?


 どうして俺は引きこもってたくせにゲームをやってこなかったんだ!時間がいっぱいあったのにどうしてRPGとかギャルゲーとかスローライフ系しかやってこなかったんだ!


 対人戦が苦手だったからやってこなかったのがここにきて自分の首を絞めるとは。


「あ、じゃあ俺1Pで」


「じゃあ2Pで」


 そもそも早乙女が勝つとは限らない、もう早乙女が負けたらこの対決にこっちの勝ち目はない。


 頼む〜勝ってくれ〜。


 もう俺にやれることはないから祈ることしか出来ない。


「2人とも準備は出来たかな?」


「「はい」」


「じゃあ、レディ…、ファイト!」


 いや、それはゲーム画面が示してくれるから言わなくても大丈夫ですよ…。








「ヤバい、あと一周だ!」


 まずいまずいまずい、あと一周なのに結構な差をつけられてる。やっぱりゲーム部だからゲームが上手い。


「まだ諦めないで!」


「そうだ!諦めるな!」


 オカルト研究部のみんなは前のめりになって早乙女を応援をする。


「フッ…、これは勝ったな」


「はい。勝ちはいただきました」


 ゲーム部の奴らは余裕の表情で見守ってる。


 いや、ダメだって!お前が勝たないともうこの対決勝ち目が無くなってしまう。


 せっかく原作を変えてでも入ったのにこんなところで終われないって!


「…あれ?」


「…ちょ、待っ!どうして僕ばっかり狙うんだ!」


 CPUがなぜかゲーム部の奴だけにアイテムを投げてる。で、進もうとしてもまたアイテムが飛んできてその場から全く動けない。


 CPUがゲーム部の奴を憎んでるような動きをしてる。


「あ、ラッキー」


 ゲーム部の奴が動けない間に早乙女がゴールした。


「winner早乙女!」


 生徒会長が早乙女の勝利宣言をした。


「おー!ナイス早乙女!」


 俺は早乙女に飛びつく。こいつ勝ちやがった、ゲーム部の奴にゲームで勝った。


「おう、結構ラッキーだったけどな」


「Congratulations.とても良いゲームだったよ」


「ありがとうございます」


「オカルト研究部は良いナイトが入ったんだね」


「ありがとうございます?」


「とりあえずオカルト研究部が1勝!」


 よし!これはデカい!これでかなりオカルト研究部の勝利に近づいたんじゃないか?


 ゲーム部の奴らは信じられない光景に口が開きっぱなしだ。そうなっても仕方ない、だってCPUの動きが明らかにおかしかったからな。


 ゲーム部の奴らは1つ誤ってしまったな、早乙女はこの世界の"主人公"なのだ!


 早乙女はこの世界に愛されてるんだ、だからCPUも早乙女の味方をする。主人公補正を舐めるなよ。


「次は更紗ちゃんだね、頑張って!」


「監督!俺も応援してます!」


「誰が監督よ!」


 ツッコミのキレはいつも通り、緊張はあまりしてない感じだ。もしかしたら一気に2連勝いけるんじゃない?


「水野、悪いが勝たせてもらうからな」


 ゲーム部の次鋒はクラスでよく話す小池だった。


「お前が負けたら一気にこっちが優勢になっちゃうから頑張れよ」


 と、プレッシャーをかけて少しでもこっちが勝てる可能性を高めておく。


 もしかしてこいつが俺がオカルト研究部に入ったせいで人数合わせでゲーム部に入った奴か?それはちょっと悪いことをしたな。


「じゃあ、2試合目の内容を発表するね。


 第2試合目は…格ゲー!」


 格ゲー、か。どうなんだろう。でも、ゲーム部の方が上手いに決まってるからな。


 いや、さっきみたいにラッキーなことが起きるかもしれない。最後まで諦めなければ勝てる…かも。


「準備は出来たかな? レディ…ファイト!」


 だからゲーム画面が示してくれるから言わなくても大丈夫ですよ?






 え…。


「よし、残り一機」


「…これはまずい」


 新色がゲーム部の奴を残り一機まで追い込んでる。


 新色が強い…、いや、小池がかなり弱い。


 やっぱり人数合わせで入ってるからゲームが得意じゃないみたいだ。


 勝てる、これは勝てるぞ!いきなり2連勝はだいぶこっちの有利になるぞ!


「くっ、仕方ない。新色」


「?」


「お前って………のこと……きだよな?」


 小池はコソコソと新色に何かを言った。


「…へ?」


 すると新色の手が止まってしまった。


「よし、チャンス!」


 そこから一気に形勢逆転して、小池が勝った。


「winner小池!」


「ちょっと待ってください。生徒会長!明らかに妨害行為がありました。みんなも見てましたよね?」


 オカルト研究部のみんなはうんうんと頷くけどゲーム部の奴らは、はて?みたいな感じで認めない。


「でも、生徒会長さんも見てましたよね?」


 フミちゃん先輩は生徒会長に訊ねる。


「何かを言ってた気はするけど、内容によるかな?妨害になるような内容だと反則なっちゃうけど」


「なんて言われたのサラサちゃん?」


「……」


 新色は口を開こうとしない。


「妨害されたならされたって言わないと!」


 早乙女も熱くなって新色を説得する。


「負け負け負け、私の負け!だからこの話はおしまい!あと、外で空気吸ってくる!」


 新色は立ち上がってスタスタと部屋から出ていった。


 いや、絶対に何か言われてるじゃん。なのにどうして何も言わないんだ?そんなにも酷いことを言われたのか?


 許せない、新色の仇は俺が絶対にとってやる!


「オカ研のクイーンも惜しかったけどね。お互い1勝ずつで、これでイーブンだ」


 やばいなぁ。早乙女と新色で2勝する予定だったのに非常にまずいことになってる。


「2試合目は非常にナイスゲームだったから次もホットなゲームを期待してるよ」

 

 ちょっとヘンテコな映画が多いか。気にしないようにしてたけど流石に多すぎる。無理にキャラ付けしなくても大丈夫ですよ?


 とりあえず俺は戦うことが確定したな。で、久田ちゃんは負けちゃうから絶対絶命で俺に回ってくる。


「…ねぇ、私が負けると思ってる?」


 これはビックリした。俺の考えが読まれてるのかと思った。


「…いや、そんなことないよ…」


 言いながら目が泳いじゃってるからバレバレ嘘をついてしまった。


「…見てて。絶対に勝ってくるから」


 すごい自信だ。もしかして勝ってしまうのか?そう思わせるほどの自信に満ちてる。


「3試合目の対決内容は…


 サッカーゲーム!」


 うわ〜サッカーゲームなら得意だから俺がやりたかった。


「準備は出来たかな?」


「はい」


「…はい」


「レディ…ファイト!」


 だから…、もういいや。











 普通に久田ちゃんが負けました。


 コントローラーを置いてこっちにやってくる。


 さっきまで自信満々だったからどんな感じで来るんだろ?俺だったら恥ずかしくトイレに駆け込むけど。


「…なに?」


「逆ギレ!?」


 そっちが自信ある感じ出してたじゃん!


 久田ちゃんが負けるのは想定内だけど、現状オカルト研究部は追い込まれてしまってる。だから、部室は俺の手にかかってしまった。


 俺が負けたら終わり。











 マジピンチ。

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