第2話

「用意するわけないでしょ!なんであんたなんかのために…」


「お前はいつもうるせえな。28になるってのに餓鬼かよ」


「……本当にあんたって奴は」




もう一度聞くよ、私。なんでこんな冷たくて俺様なコイツのことを好きになんてなったの。



週末にいつも通り私の家に押しかけてきたコイツは、当たり前のようにキスをして当たり前のように私の体を組み敷いた。



だけど、私達は付き合ってなんかいない。所謂セフレってやつに近い。身体だけの関係。




「はあ、」


「…」




何やってんだろ……。もくすぐ30歳になるっていうのにまともな彼氏の一人も作らず身体だけで繋がる男になんて惚れて、婚期は遠退くばかり。


馬鹿だ。私は馬鹿すぎる。


それにこの煙草を優雅に吸う男が私に対して愛情なんてものを持っているわけもない。希望なんてそんなものに縋るのはやめたいけど、残念ながらそれしかコイツと身体以外で繋がる方法が見つからない。

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