ほーらほらほら、あなたはうどんが食べたくなーる。
うどん、いいですよね。
麺のコシがあるのが好きな人と、よく茹でてコシがない麺が好きな人。
太くて食べ応えのある麺が好きな人、細くてつるつるとのど越しがいい麺が好きな人。
濃い目の味の出汁が好きな人と、あっさり目の薄い出汁が好きな人。
具材はシンプルな方がいい人と、色々豪勢に乗っけたい人。
人の数だけ、その人のこだわりの形をしたうどんがあります。
彼女のこだわりはキャベツうどん。
さあ想像してください。
茹でたキャベツの甘味と、多少生っぽさが残る柔らかさと硬さが混ざり合ったほど良き食感の芯。
生姜の風味香る出汁がそれと混然一体となり、ずずーっとうどんに絡み吸い込まれていく感覚。
弾力のあるコシ、噛み応えのある太い麺。
ずずる、ずずず-ずずず、ずるっちゅ、という麺をすする音。
ごくっごくっごくっごくっ、ぷはぁ。
これだ、これこれ、旨い出汁を飲み干したらぷはーですよ。
ああこれぞまさに食への埋没、没頭するほどの至福のひと時。
洗濯機? 知らん、ほっとけ。
さあ、うどんを食いましょう。
私(わたくし)ジャンル訂正委員会の委員長のぽんぽん丸と申します。
当委員会は「うどん、食べたい」のお噂を耳に致しました。キャベツうどんという個別個性的な料理について緻密な筆致で書かれた当該作品は現代ドラマから飛び出し恋愛になりつつあるのではないかとこの度は審査に訪れました。
まず審査の基準となりますのは個人への情念でないのに恋愛ではあるの文字数
厳正な審査を経まして「うどん、食べたい」はキャベツうどんへの愛情に溢れ、またその情動を多くの人の心に伝播しているため、現代ドラマジャンルでありつつ、恋愛ジャンルでもあるということが公に認められたことをお知らせさせて頂きます。
この通知を持ちまして「うどん、食べたい」を現代ドラマジャンルから恋愛ジャンルへ変更される際に起きるあらゆる弊害を当委員会が代理で解決いたします。今後とも変わらぬご活躍に胸を高鳴らせております。
主人公は、すでに寝る準備を済ませた。
歯も磨き、ハンドクリームも塗り、
そして明日の朝も早い。
あと洗濯機があと数分で回り終わる。
そんなタイミングで、どうしても、どうしても「アレ」が食べたくなってしまったのだ。
なるほどキャベツうどんという発想はなかった。キャベツ高いし……
でも夜中に暴力的に麺類を啜りたくなるこの衝動は何なのだろう。
それも決まって、冬はうどん、夏はラーメンなのだ、(私だけか?)
私は白だしに白菜と豚肉が圧倒的スタンダードうどんだ。
たまに白だしだけでもいける。基本的に、「まずい」うどんというのは存在しないのだ。
うどんの数だけ感動がある、と言ってもいい。
ああ……うどん食いたくなってきたな!!