第3話 大切なお友達
弘美さんの一人暮らし部屋は、私が想像していたよりもかなり大きかった。
普通に4人家族が住めるほどの大きさに、一人で住んでいる。
車の中で、弘美さんはどうして私を訪ねて来てくれたのかを教えてくれた。
私を助けてくれた猟友会の人が、偶然弘美さんの友人で、名前を聞いたら妹の幼なじみだって思い出したから、引き取りに来た・・・・
なんか、変な話だな。
そもそも、世田谷に一人で住んでいるイケイケなお姉さんが、なんでまた富士山麓の猟友会の人と知り合い?
そうだ、第一、そんなに早く駆けつける事なんて出来ないだろう。
「弘美さん、ここからわざわざ私のために富士の樹海まで来てくれたんですか?」
「うん、あなたは妹の大切なお友達だから」
「あの、もういい加減、聡子ちゃんの居場所教えてもらえませんか?」
また、あの表情だ。
弘美さんは、この話になると悲しいと怖いの中間みたいな表情を浮かべる。
でも、もう私我慢出来ないよ。
今の私を支えているのは、聡子ちゃんなんだから。
会いたいよ、聡子ちゃん。
「あのね、これから私が言うことを、落ち着いてよく聞いてほしいの」
「はい・・・・」
「聡子はね、転校してすぐ・・・・亡くなったの」
私は再び目眩がしたっように感じた。
やっと頭がはっきりしてきたのに、再び私は現実逃避したくなる。
なに、なにを言っているの?
弘美さん、嘘でしょ、嘘よね。
だめだ、私、自分自身を確立出来ない。
「紗代ちゃん!」
リビングに倒れ込む私をナイスキャッチした弘美さんの驚いた表情を見ながら、私は再び意識を失った。
嫌だ、聡子ちゃんがいない世界で、これから私は生きて行かなくてはいけないなんて。
そんな現実、受け入れられない。
こんなことなら、あの樹海で私、死んでいれば良かったよ。
そして私は再び夢を見ていた。
今度は中学校の時の聡子ちゃんだ。
綺麗なサラサラの髪の毛に整った顔立ち。
こうして見ると、聡子ちゃんは聡子ちゃん、弘美さんは弘美さん、やっぱり別人だな。
聡子ちゃんの方が、少し優しい目をしている。
ジャンパースカートにジャケット、なんだかいかにも中学生って感じの野暮ったい制服だったけど、聡子ちゃんが着ると格好良く見えるんだよな。
笑顔が素敵。
そして、顔が急接近する。
これは・・・・キス、的な、感じの?
もう、私、エロいよ!
でも、夢に出てきてくれた聡子ちゃん、これが最後かもしれないから・・・・あれ? 聡子ちゃん・・じゃない!
弘美さん?
私が面食らっていると、弘美さんは笑い出した。
「本当にすると思った?」って、悪戯な笑顔を私に向ける。
こういうところが、やっぱり弘美さんだ。聡子ちゃんはそう言う事を言わない。
おかしな話かもしれないけど、聡子ちゃんなら、きっとキスする。
そんなおかしな夢を見ている私の耳に、誰かが電話で話しているような声が聞こえた。
「うん、あんた、大丈夫なの? 情報を扱う人間が表舞台に出てきてどうすんの! 今回の貸しは高く付くわよ、いい?」「じ後処理、どうするのよ、私、嫌だからね、あんたの尻拭いするの」
何だろう、誰と話している声?
さっきまでの弘美さんと、少し雰囲気が違う気がする。
・・これもまた夢なのかな。
私、起きるのが怖い、怖いよ聡子ちゃん。
どうして死んでしまったの?
私、もう独りぼっちだよ。
大人になったら、また会えるって、心のどこかで思っていたのに。
仰向けになって涙を流す私に気付いた弘美さんが、携帯を切った。
ああ、これは現実の方なんだ。
「ごめんなさい、配慮が足りなかったわ。ショックよね、聡子の事」
「すいません、ご家族の弘美さんの方が、よほどお辛いことなのに」
「私は大丈夫、もう何年も前だから」
「あの、差し支えなければ、聡子ちゃんが亡くなった経緯を聞いてもいいですか?」
弘美さんは、わたしにと作ってくれたお粥を運ぶと、私が食べる横で話してくれた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます