一方通行の愛

異端者

『一方通行の愛』本文

 彼は今日も働かない。ただ、たたずんで私を見ている。

 仕方がない。仕事も家事も、私の役目だ。

 彼はいつもそこに居て、見つめているだけだ。

 でも、それで良いと思う。


 ――あなたは狂ってるわ。


 友達の言った言葉を思い出す。

 確かに、常識的に考えればそうなのかもしれない。

 けれど、そんな彼を愛しているのだから仕方がない。

 そう。私は彼を愛している。そうなれば、細かいことなんて気にならない。


 ――お姉ちゃんはおかしいよ。こんな……


 妹の言葉を思い出す。

 そうだとしても、なんだろう? 何が悪いのか分からない。

 彼はただ静かに、私を見つめてくれる――それだけで十分だ。

 私は彼の視線に満足しながら、今日も仕事に出かける。

 彼は何もしてくれない。仕事も掃除も洗濯も料理も――全部全部、私の仕事。

 それでも構わない、彼と共に居られるならば。


 たとえ彼が、他の人にとっては単なるでも。

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一方通行の愛 異端者 @itansya

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