第2話 メッセージの意味

俺は震える指でスマホを握りしめた。

これって、どういうことだ?


ずっと避けられていたはずなのに、「本当はちゃんと話したかった」って――。


冗談か? それとも、何かの罠か?

けど、華乃がそんなことをするようなタイプには見えなかった。


「……どういう意味?」


そう返信しようとして、やめた。

疑うような言い方をしたら、せっかく送られてきたこのメッセージを台無しにしてしまいそうで。


結局、俺はシンプルに「久しぶり」とだけ返した。


すると、すぐに返信が来た。


「今、少し話せる?」


ますます意味がわからなくなる。

でも、こんなチャンス、もう二度と来ないかもしれない。


俺はスマホを握りしめたまま、少し迷ってから、「いいよ」と送った。


するとすぐに、着信音が鳴る。

画面には、「華乃」の名前。


俺は息をのんで通話ボタンを押した。


「……もしもし?」


少し緊張した声を出すと、電話の向こうから、どこか懐かしく、それでいて少し震えた声が聞こえてきた。


「……ごめんね。ずっと避けてて。」


俺は何も言えなかった。


「でも、本当は……ずっと話したかったんだ。」


胸の奥が、ギュッと締めつけられる。


「……なんで?」


そう聞くのが精一杯だった。


すると、華乃は少しの沈黙の後、小さな声で答えた。


「……好きだったから。」


その瞬間、俺の時間が止まった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る