すれ違いの先で

輝人

第1話 突然のメッセージ

華乃にはずっと嫌われていた。

少なくとも、俺はそう思っていた。


中学の頃から、華乃とは同じクラスだったけど、まともに話した記憶なんてほとんどない。俺が話しかけても、そっけない態度を取られるか、無視されるかのどちらかだった。俺が近くにいると、わざわざ遠回りして歩くこともあったし、目が合ってもすぐに逸らされた。


「私、ああいうタイプ苦手なんだよね。」


誰かにそう言っているのを聞いたこともある。たぶん、俺のことだろう。だから、高校に入って別の学校になったとき、少しホッとした。もう気を遣う必要もないし、気まずい思いをすることもない。


だけど――


「ピロン」


ある日、スマホが鳴った。通知を開くと、そこには信じられない名前があった。


【華乃】


……え?


思わず二度見する。間違いじゃない。確かに華乃からのメッセージだった。


「ねえ、久しぶり。突然ごめんね。」


驚きすぎて、しばらくスマホを持つ手が動かない。

何が起こった? 何かの間違い? それとも、罰ゲームか何かか?


けど、次に送られてきたメッセージを見て、俺の心臓は跳ね上がった。


「ずっと避けてたけど、本当はちゃんと話したかった。」


俺は、一度深呼吸をしてから、ゆっくりと返信を打ち始めた――。

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