第2話 王様ゲーム

 僕、園田英和そのだひでかずの日常はひょんな事から一変してしまう。というのもクラスメイトの神崎穂乃果かんざきほのかさんに声をかけられてからその友人二人も僕の家に入り浸るようになった。だけど最近、一人暮らしの僕には少しだけ楽しい時間な気がしてきた。

「園田〜コーラまだー?」

「ちょっと待ってて!」

 前言撤回。毎回の様にこき使われてます。


 × × × ×

「ねぇ暇だから王様ゲームとかしない?」

「穂乃果エロ〜! そうやって園田とイチャイチャしたいんだ〜」

「そういう事したいなら言ってよね。私達すぐ出てくから」

「はぁ!? バッカじゃないの!! 何でアタシが園田とエッチな事しなきゃいけないのよ!」

「誰もエッチな事とは言ってないんだけど」

 神崎さんは顔を真赤にしてる反面、不知火しらぬいさんはニヤニヤと、ひいらぎさんは目を細めて見ていた。

「とにかく暇だから遊びましょうって事よ。園田割り箸二本持ってきなさい!」

「わ、わかった!」

 僕はキッチンへ割り箸を取りに向かう。神崎さんはカバンから筆箱を出し赤ペンを用意した。


「ほんとにやるわけ?」

「当然でしょ! 私が王様になったら覚えてなさいよ!」

 柊さんが呆れながら確認をすると神崎さんはやる気満々の様子だ。割り箸を持ってくると早速割った一本を赤く塗った。そして他の箸には一から三までの数字が書かれた。


「じゃあはじめるわよ! 王様だーれだ!」

「あ、ラッキー! ウチが王様ねー!」

「いきなり最悪な王様の誕生ね⋯⋯」

 神崎さんは不知火さんが王様だとわかると顔が青ざめていた。ひょっとして神崎さんは自分が家来になる事を想定していなかったのでは?

「んふ〜そうだなー。三番は王様の脚をマッサージ!」

 皆自分の箸の数字を確認する。そして神崎さんと柊さんはほっと胸を撫で下ろした。つまり三番は僕だ。

「ぼ、僕だよ」

「それじゃあ園田よろしく〜」

 そう言って不知火さんはベッドにうつ伏せに寝た。僕がベッドに乗ると軋む音が聞こえてきた。女の人の身体なんて初めて触るからとても緊張している。僕は意を決して不知火さんのふくらはぎに触れた。

「ひゃあ!? ちょっと園田の手冷たくない!?」

「あ、ごめん! 温めてからするね!」

 僕は急いで手を温めた。そうして再び不知火さんのふくらはぎに触れた。不知火さんのふくらはぎはとても柔らかくてマッサージが必要なようには思えなかった。

「あぁん、いいよ園田」

 艶のある声を出されて鼓動が速くなる。そしてもう一つ僕の心を揺さぶるのは目の前にある不知火さんのスカートだ。僕がふくらはぎを揉むたび脚を動かすので短いスカートの中が時折顔を覗かせるのだ。僕はそれを見ないよう必死に抵抗した。


 × × × ×

「あんたらいつまでやってんのよ!」

「終了ー」

 二人の掛け声で不知火さんの王様タイムは終わった。

「え〜もうちょっとやってもらいたかったな〜」

「アンタが途中から遊んでたのはわかってたのよ」

「あり? バレてた?」

「まぁあんだけわざとらしく声出してればね」

 そして二回戦が始まった。王様になったのは柊さんだ。柊さんは何を命令するか少し悩んだ様子だったが決まったらしい。

「一が二の変顔を撮る」

 その命令でガッツポーズをしたのは不知火さん。そして項垂れるのは神崎さんだった。ニマニマと不知火さんは神崎さんにスマホを向ける。神崎さんは意を決して変顔を作る。しかし、シャッターは切られない。

「どうしたのよ。早く撮りなさいよ」

「そんな可愛い子ぶってるのウチ撮りたくないんだけど王様どうですか〜?」

「穂乃果もっとブサイクね顔しなさい」

「アンタら覚えてなさいよ〜! ふん! これでいいでしょ!」

 言うと神崎さんはとてつもなく顔を崩した。僕はそれを見て思わず吹き出してしまう。不知火さんは連写していた。


 × × × ×

「王様だーれだ! 今度はアタシよ!」

 不知火さんと柊さんはついにこの時が来てしまったとばかり絶望していた。

「ふふん。二番が一番の胸を揉みなさい!」

「はいはい。やっぱりそういう系ね」

「穂乃果はエッチだな〜」

「御託はいいわ。で、誰が胸を揉まれるのかしら?」

「ぼ、僕です」

「はぁ!?」

「てなわけで一番はウチだから園田のない胸揉みま〜す」

 僕は正座で目を閉じた。すると背後に周った不知火さんは僕の胸の辺りを撫ではじめる。背中には不知火さんの胸が押し当てられている。不知火さんは指で撫でていると突然僕の乳首を指で挟んだ。

「はぅぅ!?」

 そして去り際に僕の耳に息を吹きかけて終わった。


 × × × ×

「僕が王様だね」

 王様が順番通りか僕に周ってきた。正直して欲しい事もなかったが普段好きにくつろいでる三人を思い出しある事を決めた。

「一、二、三は僕に手料理を振る舞う!」

 すると三人は面倒くさそうにキッチンへと向かっていった。


 しばらくして料理が運ばれてくる。炒飯に野菜炒め、味噌汁だった。並べられた料理はとても美味しそうで今すぐ食べたかった。

「誰がどれを作ったの?」

「ふふん当ててみ?」

 その言葉を皮切りに僕は出された料理を食べる。まず手を付けたのは炒飯からだった。塩胡椒の効いたパンチある味で男子高校生は皆好きな味だろう。少しおこげがあるのも良い。続いて野菜炒め。これは逆に薄口で野菜の甘みが出ていてこれはこれで美味しかった。最後に味噌汁。これは衝撃を受けた。優しい味噌の香りと食べやすい大根。飲んだ後には身体がぽかぽかしてくる。

「で、わかったかな王様」

「この炒飯は多分、不知火さん。野菜炒めは柊さんで味噌汁は神崎さんだと思う」

 言うと皆目を見開いていた。

「全問正解なんて園田凄いじゃ~ん!」

「野菜炒めと味噌汁は間違うとおもったけどやるね」

「個性って料理にも出るんだなって思えたよ」

「ふ、ふーん。で、どれが一番美味しかったわけ?」

 神崎さんは僕が一番答えずらい質問をしてくる。他の二人もそれは気になる様だった。ここではぐらかすのは良くないかもしれない。


「味噌汁が毎日飲みたいと思ったよ」

「⋯⋯!? そ、そう。たまになら作ってあげてもいいわね」

「ヒューヒュー!」

「愛瑠うるさい!」


 こうして今日も騒がしく一日が終わった。



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エロ漫画みたいにギャルが僕の家に入り浸る 秋月睡蓮 @akizukisuiren

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