エロ漫画みたいにギャルが僕の家に入り浸る

秋月睡蓮

第1話 入り浸るギャル達

 僕、園田英知そのだひでかずは田舎から一人上京してきた高校一年生だ。普通は地元の高校に進学するのが普通なのだろうが俺の住んでいた町では相次いで高校が閉校。意を決して東京で進学したいと伝えると両親は渋々了承。ただ仕事の関係もあり三年間は親戚の運営するアパートで一人暮らしとなった。親戚に挨拶すると必要最低限の援助でよければとドライな対応。晴れて四月から一人暮らしとなった。なったのだが⋯⋯。


「園田〜喉渇いたから冷蔵庫からコーラ持ってきて〜。あー氷ぱんぱんでお願い」

「あ、ウチのも頼むわ〜」

「園田が可哀想だから私はジンジャーエルでいいよ。氷は少なめで」

「わ、わかった」


 僕は言われるがままキッチンに行き冷蔵庫を開ける。現在、僕の部屋では三人のクラスメイトが僕の漫画やゲームで遊んでいる。ベッドは占領され僕の領地は本棚の隅だ。何でこうなっちゃったんだろう⋯⋯。


 × × × ×

「園田ってさぁ今一人暮らしってマジ?」

 入学式少し過ぎた辺りで一人の女子生徒に話かけられる。見た目は派手なピンク髪を可愛くツインテールにしている。制服は着崩し、正直目のやり場に困る。確か名前は―

「う、うん。そうだよ。神崎さんが僕なんかに話かけるなんて珍しいね」

 神崎穂乃果かんざきほのか。クラスでも目立つ女子グループの一人だ。正直怖い。僕は同級生のトレンドとか全然詳しくないし、アニメやゲーム、漫画しか趣味がない人間だから住む世界が違いすぎる。例えるならアマゾンと地下室くらい違う。

「アタシが話かけちゃダメってこと?」

「そ、そんな事ないよ」

 不機嫌にさせちゃった。僕は肩を震わせながら先程の質問を思い出す。

「田舎から僕だけ引っ越してきたんだ。慣れない生活で大変だよ」

「そうなんだ。ねぇ今日アンタの家行っていい?」

「え?」


 × × × ×

 そして一度神崎さんを家に上げてから何故かその友達の二人まで家に入り浸る様になってしまった。

 僕はトレーにガラスコップを乗せ注文の品を届ける。

「偉いぞ〜園田」

 軽く頭を撫でて来たのは不知火愛瑠しらぬいあいる。派手な金髪に手入れの行き届いたネイル。僕より少し背が高い女子。

「愛瑠甘やかさなくて良くない?」

 こっちはこの二人とは対照的で黒髪を肩くらいまで伸ばし、見た目は優等生そう。いつも黒いマスクを着けてる。僕に対して多分一番当たりが強い女子。柊千紗ひいらぎちさ

「千紗こそ厳しすぎじゃない? 怖かったね〜」

 またも不知火さんに頭を撫でられる。それを見て柊さんは舌打ちをする。怖い⋯⋯。


「アンタら園田で遊ぶのその辺にしてアタシと遊びなさいよ」

 僕達のやり取りを退屈そうに眺めていた神崎さんがテレビゲームをしながら呟く。

「そういや園田の家なのにゲームやってる所見た事なくない? 穂乃果とバトらせれば?」

「アタシは誰でもいいわよー」

「じゃあ決まり。私達じゃ穂乃果に勝てないし負けるとムカつくから園田サンドバックになってあげてよ」

 何故か僕が神崎さんと対決する事になった。正直はたから見ていても神崎さんは上手い。でも家主として負けたくない。

「負けた方罰ゲームね〜」

「うわ愛瑠性格わる」

「いいわよ。じゃあ負けた方が勝った方の言う事聞くでいいわね」

「えぇ⋯⋯!? わ、わかりました」

「あはは。園田ガチガチじゃーん」

 かくして負けられない戦いが始まった。


 × × × ×

「⋯⋯そんな、アタシが負けるとかありえないから!」

「ちょマジ? あと一本で園田の勝ちじゃん!」

「サンドバックかと思ったらなかなかやるじゃん」

 格闘ゲームのBO5で対戦を開始した僕達。BO5とは5回試合して先に3勝した方が勝ちのルールだ。序盤は互角の一対一だった。だけど神崎さんのクセをわかってきたらそこからじわじわとさが生まれ有利になった。そして神崎さんのゲージはあと少し。

「穂乃果〜このままだと園田にエッチな事されちゃうぞ〜」

「んな!?」

 不知火さんの野次に僕は思わず動揺してしまい隙が生まれそこから逆転を許してしまう。


「愛瑠今のずるくない?」

「いや園田の方が動揺するとは思わなくて」

「アンタらは静かに見てなさいよ!」

 そして迎える第5試合。神崎さんにも僕のクセを見抜かれた様で苦手な攻撃を続けてくる。だが一辺倒になった動きは読みやすくその隙を突く。そして決着はついた。


【KO!!】


「はい園田の勝ち〜」

「じゃあ園田は罰ゲーム決めな。何でもいいから」

 何でもって言われても⋯⋯。そこで僕の頭の中にある線がぷつんと切れた様な気がした。思えば何で毎日僕の平穏がクラスの女子に荒らされなければいけないのか!よし、とびきりエッチな事をお願いしてもう僕の家に入ろうと思わない様にしよう。

「ちょ園田、目怖いんだけど⋯⋯」

「ツを⋯⋯」

「ん?」

「パンツを見せろ!!」

「やっぱ園田も男か〜」

「まぁ罰ゲームだししょうがないよ。ほら穂乃果とっとと見せてあげな」

「う、うるさいわね。ちょっと待ってなさいよ」

 そう言って神崎さんは僕のベッドの上に立つ。そしてスカートをゆっくりとたくし上げる。


「穂乃果えろー」

「じらすね」

「アンタ達は見るんじゃないわよ!」

 そして白く輝く太ももから更に上に上がる。そこにはピンクのレースがお披露目された。

「こ、これでいいでしょ」

「あと3秒!」

「ぷっ。意外とがめついのウケる」

「まぁ罰ゲームだしいいんじゃない? もう見れないだろうし」

「はい! 終了!」

 神崎さんはたくし上げたスカートを戻しベッドから降りる。神崎さんの顔は真赤になって涙目になっていた。

「ち、調子に乗りすぎちゃったごめん」

「いいわよ⋯⋯。私が言い始めた事だし」

「仲直りも済んだしそろそろ帰ろう〜」

「じゃあまたね園田」

 そう言って三人は僕の部屋を後にする。僕は抑えられない興奮でそのままベッドにダイブした。先程まで三人がいた部屋は女の子特有の匂いでくらくらしてくる。大きく息を吸おうとした時、ガチャリと部屋が開けられた。

「忘れ物取りに⋯⋯ってあんた何してるの?」

 入ってきたのは神崎さんだった。神崎さんはベッドでうずくまる僕を目を細めて見ていた。

「あ! いや! これは違くて!」

「ふーん⋯⋯。まぁ見なかった事にしてあげる」

 こうして変な誤解を終えたまま僕の一日は終わった。



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