応援コメント

第四話 幽明の幽霊」への応援コメント

  •  ここまで読ませていただきました。個人的にはめちゃくちゃ面白く読んでいるのですけれども(漢数字とアラビア数字の章の違いなど) とても作り込まれていらっしゃるのがよく分かります。その作り込みを全部一読で理解できているか、というと謎なのですが。

    さきほど教えていただいたフィードバックの要点に則して書いていきます。

    ①想定読者に対して何を刺せているのか
    ②一般的なラノベを好む読者には何が物足りないのか

    ①想定読者がどのあたりなのかを存じていないので肝心なことが言えないのですが、私は好きです。私が好きであるからには、おそらく純文学の、幻想小説あたりが好きな人が好きかもしれませんね。読んで最初に泉鏡花を思い出しました。


    ②そして非常に言いにくいことを申し上げるのですが、作者様は「ラノベ向き」の作風ではないのだろうと思います。
     なのに、ラノベの要素を取り込みつつ、ラノベをやろうとしている。タイトルなどがそう物語っていますね。(世でいうところのラノベの追放ものをやりたいのだろうとお察しします)
     だから一読で読める。内容がテンプレに極めて近いところを通るために、何をやりたいかがよく見えている。今のところこの作品をラノベたらしめているのは、テンプレ要素です。
     
     貶すつもりは毛頭ありません。気分を害されたら本当に申し訳ありません。

     個人としては作者様の強みをもっと出していってほしい気持ちがありつつ、しかしそうすれば「ライトノベル」から離れて行く結果になってしまう、そして本当に作者様がやりたいことから遠のいてしまうのではないかと危惧しています。

     ラノベの本領というのは「わかりやすさ」です。目を惹き、すんなり飲み下せる、インスタントで口当たりがいい。後を引くことはないし、似たような話を大量に消費することで多幸感を得る、正直な話、消耗品だと思ってすらいます、私の個人的な意見ですが。

     そのラノベの特徴から本作はかけ離れすぎています。非常に難解かつ滋味があり、そして噛むほど味の出る文章です。ラノベの読者層であれば(おそらくは)わかりづらさの前に屈服して、素通りしてしまいます。コメントから察するに、何人かいらっしゃったのではないでしょうか……

     正味私はラノベというジャンルに押し込めるのが勿体無いほどの文才を作者様に感じているのですが、……この作品をラノベの枠から外すご予定がありましたらいつでも相談に乗ります。本当に。
     わかりづらさは確かにあるんですけれど、描写の触れ方といい心理描写といい、最初の3人の使い方といい、思わず目をみはってしまう、学ぶところの多い作品と思います。
     続けて読ませていただきます。

    作者からの返信

    引き続き、お時間割いてくださり心からお礼申し上げます。

    "その作り込みを全部一読で理解できているか、というと謎なのですが"

    私の課題意識はそこにあります。あなた様は明確にターゲット読者なのですが、その読者さんですら難しさを感じてしまっていることです。私としては、もともとある複雑さを、「これなら一発で理解できてわかりやすいだろう」と加工した上でこの有り様なので、よりわかりやすくする必要があると痛感しております。じっくりと効いてくる読書体験だけでなく、複数の要素が同時に立ち上がってくる読書体験を届けたいためです。それができるようになるためには、やはり簡素が要だと考えています。

    "そして本当に作者様がやりたいことから遠のいてしまうのではないかと危惧しています"

    嬉しいお言葉です……ありがとうございます。私がやりたいことは、前作異世界徴税官である程度行えていますので、今はわかりやすさに挑もうとしている段階です。最終的には、わかりやすさがないと読めない読者を、難しい異世界徴税官を理解できるように、作品の中で補助、架け橋を作る作品を提供しようとしています。このへんは、漫才やコントの審査員が述べる内容を応用すればできると信じています。

    "似たような話を大量に消費することで多幸感を得る、正直な話、消耗品だと思ってすらいます"

    私の目指す作品とは、消耗品ではあるが、長年使う人がいるように、耐用年数が長い消耗品の作品を目指しております。

    "非常に難解かつ滋味があり、そして噛むほど味の出る文章です"

    意図しない難解さを取り除いていきたい感じです。そして、文章にある違和感を、受動的でも作品が面白く見えるギミックに作り変えなければならないと考えています。

    "この作品をラノベの枠から外すご予定がありましたらいつでも相談に乗ります。本当に"

    あたたかいお言葉、ありがとうございます……
    わかりやすさを追求するのは、こんどこそラノベ的に描く次回作のためです。今作は、この路線のまま完結するので、むしろ直すべきところを直す感じになります。

    "わかりづらさは確かにあるんですけれど、描写の触れ方といい心理描写といい、最初の3人の使い方といい、思わず目をみはってしまう"

    どのへんがわかりづらいでしょうか。情報量が多いところは読みづらい、というのは私も同じです。そのため、読者に読み飛ばしてもらいたいところや、重要でないシーンは情報量を増やして読み飛ばしてもらおうとしているのですが、拙作を苦手に感じる人ほど真面目に全部読んでしまっている現状があります。知らない道を歩く気分なんでしょうね……ガイドを作らねばなりません。

    心の描き方と、セリンの内面の3人との心の距離感は、どう描けていますか。

    特に、ローラがどう見えているのかがとても心配です。リアルにいないような、現実味のない子に見えてしまっていますか?私としては、実際にいる子を、読者が実感できるように強調してる感じではあるのですが……

  • この度は当企画ご参加、ありがとうございました。
     感想ページにここまで読んでの感想を書かせていただきましたのでご一読お願いいたします。
     私の読解力不足で読み解けない部分が多くあり、他のコメント者様に比べると月並みな感想になってしまって申し訳ないです><

    作者からの返信

    いえ……すみません。お気遣いさせてしまいましたね……ですが、ありがとうございます……

  • どうしてそう感じたのか? という点を重点的に書いてくれると助かりますとのことでしたので、今回はできる限り詳しく書かせてもらいました。

    まず過去回想から現在への視点の移動がとてもスムーズでした! 前回の最後の言葉から始まり、前回の最後の言葉に帰結すること、何より回想シーンは““で区切られているために、大変読みやすかったです。

    そしてどうやら、この怨霊の正体が推定『妹』とされる存在であることや、灰色というものにとても強い意味があるということが分かります。

    恐らく灰色は、人間と化物の中間=善悪のグラデーションの象徴であり、あまり良い印象を抱かれていないことが示唆されていますね。

    そしてどうやら、このぶよぶよの異形が変身した『舌』の能力は『嘘』かどうかを判別する能力ではなく、『真実』かどうかを見定める能力であるように思えます。
    そこが分からないために、主人公は怯えていたようですね。

    そしてこの怨霊たちは複数の能力を持っており、多くの作品で導入されている『能力は一人一つ』というルールに縛られていない存在のようですね。
    そしてこの怨霊たちの使う能力は、例外的に複数の能力を持つこともある魔術とも毛色が違う。
    もしくは、本来は複数の人間が持つ能力を一つの存在にまとめているという見方もできるかもしれません、だとすればそれは複数の人間による共同体という概念そのものでしょうか?

    そして、前回のコメントで答え損ねたことに関しても補足させてください。

    "何故なら少女に取り憑いている異形"の部分について

    ここは単純に多くの作品見てきたことによる統計……と言いたいところですが、そう言い切れるほどの作品を見てきたわけではありませんので、直感というほかありません。

    しかし説明できることもあります。
    この異形が喋れるという場合、この異形と怨霊が同じ能力の形式が同じである以上は、一定のルールに則っていると判断しました。
    この場合は人に取り憑く異形や怨霊には意識があり、喋れる可能性があるという推理ですね。

    当時の思考プロセスを簡潔に説明するなら

    作者は意味のないものを登場させない→ならこれが登場したことには意味がある→この世界において魔術以外の能力は怨霊に関するものしかない→ならこの異形は何かしら怨霊に関係しているもの=怨霊と異形は同じようなルールや概念の下で行動しているという推測が成り立ちます。

    "他者との関係性に帰属する能力なのですね"
    これに関しては、とある能力とは全く逆の発想だったので気づきました。

    あなた様は『ジョジョの奇妙な冒険』という漫画をご存知でしょうか? そこには人の精神が形ある像(ヴィジョン)として守護霊のように振る舞う、『スタンド』という超能力が登場します。

    この作品に登場する怨霊も、最初はそれに似た概念だと思っていました。
    しかし何度も何度も重要なことであることを仄めかすように、主人公は過去の仲間たちとのやりとりを何度も思い出します。
    しかも回想のはずなのに、何故か的確な言葉ばかりを投げかける、まるで『会話』しているかのように、です。
    しかしここで異形が登場することで、怨霊との比較が可能になります。
    後は先ほどの"何故なら少女に取り憑いている異形"の項目で説明した通りです。

    "その人物の人格を形作った時間や言葉そのものであるという比喩表現だったのですね。
    だとすればこれは『少年時代との訣別』ではなく、『過去を肯定』する物語"

    ここに関しては、先ほどの『スタンド』という存在との比較によって気づいたものです。
    『スタンド』はその持ち主『スタンド使い』と呼ばれる能力者の深層心理によって能力や戦闘力が決定されます。
    例えば喧嘩番長なら戦闘特化の格闘型、冷静な暗殺者なら奇襲特化の遠距離型など、その人物の人格によって特異分野が大きく異なります。
    酷い時は、戦闘に使えないこともあるほどです
    ですが重要なのは、これが個人の精神が生み出す能力ということです。
    しかしあなたの作品では、精神性といったものは自分で決めるわけではなく、他者との関係性や社会的地位によって定められるものと繰り返し描いていました。
    そこに自己責任という言葉で片付けない優しさを見出したために、『過去を肯定する』もしくは『過去を許す』物語であると判断しました。

    "今までの自分の常識や日常というもの終わりを象徴だからでしょう。
    そして単純に、突然死んでしまった主人公が次はどうなるのかという点に読者は目を惹かれるので、物語冒頭のフックとしてとても強いという作劇上の理由もあります"

    ここに関しては私の言葉不足でした、申し訳ない。
    まずここに関してですが、私はこのフックがしっかりと機能していると考えています。
    何故ならば、追放系という流行物であると見せかけてからのこの流れだからです。
    読者は良い意味で、予想を裏切られたことになります。
    もちろん、私もその一人です。

    "恐らくテーマが難解であるために、アクションシーンだけでもエンタメ要素にしたいという思いから、戦闘を映画のような書き方をしようとした結果"

    なるほど、ドラマや映画、もしくは古典からネタを輸入してきているのですね!
    それは作家として、とても素晴らしい試みです!
    なにより著作権を気にする必要がありませんからね!
    という冗談は置いておくとして、その試みは本当に良い試みです。
    何故ならば、そのような作品は人間の本能を直接刺激するような展開を用意しているからです。
    それはある意味で、自分の好きな作品に寄せるよりも難しい試みだったと思います。

    "どんなにセリフが難解で理解し難くても、表情から感情を察することはできます"
    なるほどそこは大きな気づきですね、確かに『攻殻機動隊』は難解なことで有名な作品です。
    そしてそこに影響されているということは、人として『どうありたいか』といったことよりも『どうしてそうなるのか』ということに焦点を当てているということですね。

    "この小説も表情や動きだけを描写することで、似たようなことを目指しているのではないでしょうか?
    だとすれば、言葉よりも行動の方に本質があるという考え方に繋がりそうですね"

    先ほどの項目の話に重なりますが、『どうありたいか?』について考えるのが『理想』を求めることであるとしたら、『どうしてそうなるのか』ということについて考えるのが『本質』を求めることであるように思えます。
    私はこの『理想』というものに強く惹かれていて、アタオカシキ様の場合は『本質』を求めているという差がありそうですね。
    しかしここまでテーマが似通うのは、人は分かり合えるはずだという、同じ『結果』を望んでいるからだと思います。

    最後に、私は文章以上に物語を読むことを好みます。
    これは文章に対する苦手意識ではなく、文章という媒体を通して物語を読んでいると認識しているということです。

    なので、どうしても文章より物語や、どうしてそのような設定になったのかということを考えてしまうのです。

    作者からの返信



    またもや、お時間割いてくださり心から感謝申し上げます。

    "何より回想シーンは““で区切られているために、大変読みやすかったです"

    額の汗をひとぬぐいです……普通の人の認知を、自分の中に再現するのはかなりエネルギーを使いました……よかったです。

    "善悪のグラデーションの象徴"

    最も重要な部分を受け取ってくださり、ありがとうございます……この物語では、あまり深掘りは出来なさそうなのですが……

    "『真実』かどうかを見定める"

    おお……これ以上象徴性を複雑にする場合、一般読者はついて来れそうでしょうか……

    "本来は複数の人間が持つ能力を一つの存在にまとめている"

    大変素晴らしい他者理解の実践です……!これこそ全ての拙作が挑んでいることです……!ありがとうございます。全ての拙作の大きなテーマの一つに、"統治のために"というものがございます。物語の人々が神と呼ぶ存在から、賜りもの、として分け与えられているものです。基本的に、物語世界での物理法則に則ったものになっております。能力だからといって、支離滅裂にならないよう心がけております。

    "ここは単純に多くの作品見てきたことによる統計……〜もしくは『過去を許す』物語であると判断しました"

    ここからここまで、作り手と受け手の架け橋の構造理解として、月面着陸が人類の大きな一歩としてたとえられるように、私にとっても大きな一歩となりました。改めまして、お時間を大きく割いてくださり心より感謝申し上げます……!

    "人は分かり合えるはず"

    ここについては、物語の中で常に問われているにも関わらず、読者に見つからないよう姿を隠し続けています……

    "物語を読むことを好みます"

    そうでしたか……では、批評会におけるフィードバックの方向は、そちらへ舵を切ろうと思います……!