第7話 2つ目の箱庭
ふと、大樹くんのステータスが育ってるなら俺も何かしらの変化があるかもしれないと、改めて自分のステータスを開いてみた。
名前 箱守 優志(はこもり ゆうし)
年齢 38歳
ジョブ 箱庭士 Lv2
スキル 精神耐性 疲労耐性 速読 健脚
料理 保育 隠密
魔法 未習得
【製作済箱庭】「ばぁちゃんち(保存済)」
マジか!保育スキルが生えてたよ!大樹くんもそうだったけど、スキルって結構生え易いのか?
それと隠密って(苦笑)。この場所から脱出するのには、もってこいかもしれないけどさ。
あとは、もう一つの箱庭が作れないかを試そう。就職してから長く住んだ我が家だ。思い描くのは容易い。
「……………出来ない。何でだ?!」
ばぁちゃんちを作った時は、驚くほど簡単に出来たのに!
縁側では、チュ太と楽しそうに遊んでいる2人の声がする。昼メシは頑張って広間から小部屋まで歩いた2人の為に、ハンバーグ(レトルト)とエビフライ(冷凍)にしようと思っていたんだけどな。
「………あ……もしかして………」
1つの可能性を試す為、俺は箱庭から外を覗き、誰も居ない事を確認してからばぁちゃんちを出ていった。
俺の住んでたアパートは、確か左勝手の外開きドアだ。それを考慮して、ばぁちゃんちの引き戸から見て、真正面の約1m先にアパートのドアが来る様イメージし、箱庭作成をし直した。
「(……やった!出来た!出来だぞ!!)」
何のことは無い。ただ単に『箱庭の中に箱庭が作れない』だけだった。
早速、ドア・ツー・ドアで我が家に入る。
「これよ、これ!ばぁちゃんちも良いけど、住み慣れた部屋はやっぱり落ち着くな……」
早速、この部屋も保存しておこう。
名前 箱守 優志(はこもり ゆうし)
年齢 38歳
ジョブ 箱庭士 Lv3
スキル 精神耐性 疲労耐性 速読 健脚
料理 保育 隠密
魔法 未習得
【製作済箱庭】「ばぁちゃんち(保存済)」、「我が家(保存済)」
「これでよし!それじゃ、食料を持ってばぁちゃんちに戻るか」
俺はキッチンに置いてあった衣装ケースを抱え、ベッドの上に乗せた。何でキッチンに衣装ケースが?と言われても、この中にレトルト食品をストックしてるからですが何か?
だって、レトルト食品を入れるのに、衣装ケースが丁度良い巾と高さだったんだよ。
手前に賞味期限の近い物を入れておけば、無駄に捨てる事も無いし、選ぶ時も側面を目で見て簡単に取り出せる。衣装ケースだからと言って服を入れなきゃいけない訳でもないし。
続いて衣装ケースの上に無洗米の袋をドン!と置き、続いて冷凍庫の中に入っている食品を配送の段ボールに詰め、冷蔵庫からはパウチのハンバーグとポテサラを出した。
おっと、缶詰も持って行こう。まあ、俺が買っていたのは鯖缶、シー◯キン、コーン缶とミカンの缶詰ぐらいだけどな。俺、ミルク寒天のミカンの入りが好物なんだよね。2人にも作ってあげよう。
「よし大量〜!俺も良くこんなに買い込んでたよな〜。だけどこれで暫くは食い物の心配は無いな!あとは、野菜類を畑で継続して育てていればなんとか大丈夫だろう」
荷物を持ってばぁちゃんちに向かうと、大樹くんと幸樹くんが玄関前でウロウロとしていた。どうしたんだ?何かあったのか?!
「よっと、ただいま!2人ともどうした?何かあったか?!」
「あ!!よかった……おじちゃんが知らないうちにいなくなったから……」
「おじちゃん!どこにいってたの?ぼくしんぱいしたの!!」
あ……うっかりした。
声を掛けてから行くべきだったな。保護者が居ないこの状況では、俺がしっかりしないと、2人を不安にさせるって気付かなきゃいけなかった……。
「大樹くん、幸樹くんごめんな。実はね、このばぁちゃんちともう一つ、俺の住んでた部屋に行ける様になったんだよ。今日は2人とも朝から頑張って歩いてくれたから、お昼ご飯にハンバーグとエビフライにポテサラを用意しようと思ってさ。それとも何か食べたい物があるかな?」
「やったー!!ぼくハンバーグだいすき!」
「ぼくも!!あとね、あとね、スパゲッティもすき!」
「よーし!それじゃあ、色々食べられる様に作ろう。デザートには、俺の好きなミルク寒天も用意するから味見してな?」
「「うん!」」
昼メシにはちょっと早いけど、今から準備すればミルク寒天も冷やせるだろう。
チュ太を肩に乗せた大樹くんと幸樹くんと並んでばぁちゃんちに戻る。欲張って一度に食料を持ってき過ぎたかも。めちゃくちゃ重い。
それでもどうにか台所まで運び、要冷と冷凍の食品をしまって、早速作り始めた。
さて、昼メシ後は2人にお昼寝タイムで休んでもらって、その間にチュ太に探索協力お願い出来ないか、大樹くんに聞いてもらおう。
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