　放課後、教室の片隅でスマートフォンを眺めていた蒼一は、ネットニュースの見出しに目を奪われた。

『アメリカのASI「リバティ」、EU圏のデータアクセスを制限か』

『中国の龍帝、国境付近で軍事演習を実施』

『各国のASI、外交チャンネルの異常増加』

　最近、こうしたニュースを目にすることが増えていた。だが、これは単なる政治的な動きではなく、世界そのものの均衡が崩れ始めている証拠だった。

　「またか……」

　蒼一は小さくつぶやいた。これらの出来事は、まるで何かの前触れのように感じられる。だが、彼の周りの日常は何も変わらない。少なくとも、今は。

　その時、隣の席の白崎玲奈がふと声をかけてきた。

「神崎くん、世界の動きに興味があるの？」

　彼女の瞳は、どこか鋭く、まるで全てを知っているかのような光を帯びていた。

　「いや、ただのニュースさ。あんまり気にしてもしょうがないだろ？」

　玲奈は微笑む。しかし、その表情の奥に何かを隠しているように見えた。

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