第5話
呆れながら自分の席に座れば前の席で友達の紗衣(さえ)がけらけらと楽しそうに笑っていた。
ちなみに高校入学当初は玄関前でお弁当の手渡し現場を他の人に見られてカップル同士だと思われていたけど懇切丁寧に説明したら納得してもらえた。
悟はまぁあんな感じだし、それは教室の方でも変わらないみたい。あれだけ愛らしい容姿とたぐいまれない女子力だもんね。
風の噂は普通科のみならず他の科にまで蔓延しているらしい。さすがである。よくよく考えてみればお弁当渡すのも男女逆だし誤解はすぐに解けた。
「でもほんといつまでやるの?1年の初めからずっとやってるじゃない」
「いつまでって、考えたこともないけど多分高校3年間かなぁ」
「あんた鬼ね。3年間ずっとお弁当作らせるとか」
「いやいや作らせてるんじゃないから。悟の好意だから」
その言い方じゃわたしがなんでもかんでも悟に無理矢理させてるみたいじゃないか。酷い誤解だ。わたしはそんなに横暴じゃない。
むっすりとあからさまに傷ついたという態度をとれば「ごめんごめん」と軽く返された。あっさりテイストにもほどがあるぞ。でもそんなところが実は好きだったりする。
この人、初対面で誰もがオブラートに包むであろうという場面でわたしに「かわいい男の子侍らしてる女王キャラとかもう古いからやめた方がいいわよ。見てるこっちがイタいから」って憐れみの視線送りながら言ったからね。
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