第5話 漆黒の槍

神様達

「なーんかなぁ...アクシデント起きないかなぁ?」

「なに物騒な事言ってるのよ...それならあっちを見たら良いじゃない?毎日毎日大変そうよ?」

「うーん...」


本文


「俺はグラン。漆黒の槍のリーダーをやってる。改めてよろしく頼む」

そう言われ俺も名前を名乗った。

「こちらこそ。私の名前はタツキです。よろしくお願いします」

名前を言うと「タツキか!いい名だ」とブンブンと腕を振られた。

……そろそろ外れそうです。

俺が痛みに耐えているとグランさんは仲間の元へ行こうと言ったため付いていくことにした。



「リーダーどうだった~?」

「あの条件で見つけるのは難しいと思うが」

広場までいくと五人の冒険者達が待っていた。


「ああ、見つかったぞ」

グランさんがそういうと五人とも目を見開いていた。


「まじで、小遣い稼ぎぐらいにしか考えてなかったけど。運がよかったわね」

「そうじゃの。しかもまだ若物じゃ、その年で母国に見切りを付けるとはのぅ」

「…………可哀想」


「あはは…まぁ色々あるんですよ。それよりイルドランまでよろしくお願いします!」

軽くお辞儀をする。

「ああ、こっちもよろしく頼む。自己紹介は歩きながらするとしよう。」


そういうとグランさん達は歩き始めた。




アンギス帝国を出てからしばらくして………

「なるほどのぅ、お主もたいへんじゃのう……」

「まあ、あの国結構キナ臭いとこあるもんね」

長い白髪のおじいさんはトーナンといい魔術師でありながら杖を使った近接戦闘もできるすごい人だった。

次に俺の話を聞いているのはボーイッシュな女の子……年はなんと同い年であった。名前はカシュ、斥候を担当していた。


「ええ、戦争の影響で少しずつ生活が苦しくなっていて。それで心機一転イルドランまでいってみようかなってなったんです」


まあ、イルドランがどんな場所かは知らないが……


「………でも間違ってない。あの国はそのうち消える」

「がはは!違いねぇ。酒もつまみもまずいからな。消えて当然だ」


口数が少ないのが女性のエルフ、名はサラという。弓の達人で空飛ぶグリフォンを打ち落としたこともあるという。

大きな声で豪快に笑うのはドワーフのドルドン。手斧を振り回し、火属性と土属性の魔法を使う。酒が大好きで今もポットを煽っている。


「俺達も依頼で来てたんだが、危ないところだったな。依頼も踏み倒されてさんざんだったよ」


どうやらグランさん達は貴族の依頼をうけてアンギス帝国まで来ていたようだが、いちゃもんをつけられ報酬を受け取れなかったようだ。


「本当にタツキがいてくれて助かった。あの条件なら護衛をしつつイルドランに帰れるからな。まぁ依頼主が現れなかったら大赤字になるだけだったがな!」


グランさんは大笑いしていたが、仲間からの視線は鋭いものだった。


「はは……とにかく大変だったんですね。それとイルドランにはこのペースだとどのくらいでつくのですか?」

「うん?そーだな3日って所じゃねーか?」

グランさんがトーナンさんの方を見てそういった。

「うむ、なにもなければじゃが」

トーナンさんがそういうと、他のメンバーが武器を構えだした。

「えっえっ……何事?」

俺は何が起きたのかわからずうろたえていた。

「リーダー…囲まれてるよ」

「…………11匹………ウルフだね」


「お前ら、いつも通りでいくぞ。タツキ……離れすぎずに離れてろよ」


異世界初めての戦闘が目の前で起きようとしていた。







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