第4話 チートスキルと新たな出会い

神様達

「無事にギルドまでたどり着けたみたいね♪」

「それくらい、簡単に行って貰わないとね。そう言えば他の異世界人達は?」

「あぁ、それなら...」


本文


木製でありながら、重厚感を感じる両開きの扉。

周りの建物より一回り大きく、武器を携帯している人々が一気に増え始めた様子を見るに目の前のこの建物が冒険者ギルドなのだろう。


「·······」


樹生はあのテンプレは起きないことを祈り扉を開けた。



「…………」


空気が重かった。

ピリピリとしており、何かの拍子で爆発するのでは……と思うほどだった。


「あの……聞きたいことがあるんですけど……」


俺がそういうと受け付けの男の人が対応してくれた。


「………はい。なんでしょう?」


男の人は疲れているようで、目の下には酷いくまがあった。


「あの、乗り合いの馬車とかって……」


俺がそこまで言うと受け付けの男はまたかと言いながら


「申し訳ないですが乗り合いの馬車は先ほど全て出払いました。もうありません。」


遅かったか……樹生は少し考えここが異世界であることを思い出した。


「あの、護衛とかって雇えますか?実は俺商人なんですけど急ぎで他の国へ行きたくて……」


そこまで言うと受け付けの男はパラパラと書類を確認して……


「金貨二十枚、主な飲料食料は依頼主持ち、イルドランまで。この条件なら今すぐ可能ですが……」


……金貨二十枚はかなり痛い。それにイルドランまでどのくらいかもわからないが……


「…‥仕方ないか。その条件でお願いします。」


「えっ!あっはい……分かりました。準備ができ次第お呼びします……」


受け付けの男がそう言ったので金貨を二十枚払い適当な椅子に座った。



残りはざっと金貨五枚とちょっと……不安ではあるがこの国に捕らわれるよりはましだろう。そう考え俺は視線を遮るようにスキルボートに起動金貨を一枚入れてみた。


『こちらが商品一覧になります。』


絶句した。

ざっと見た限りありとあらゆる物がそこにはあった。水、食料品、医療品、家具、寝具、家電、アウトドア用品、

etc……


(マーケットってそう言うことか、右上の数字……一万円か。つまり金貨は一万円と同等。)

そこまで考え王から貰った金が二十五万円と言うことが分かり、少ないなぁと思った。


(これ、購入したらいったいどうなるんだ?)

ためしに目に入った、トマトコンソメキューブを購入してみた。

『お買い上げありがとうございます!こちらの商品は保管庫へ移動します。』

(保管庫?)

すると、左下に保管庫の文字が現れた。

『保管庫へようこそ!軽く説明しますのでよく聞くように』

1.保管庫の中の時間は停止しています。

2.生きている動物は入れることができません。

3.容量に制限はありません。

4.あなたの持ち物は全て入れることができます。

5.あなたが死亡した場合中身は全て消失、保管庫の外にあ    る物は消失しません。

                   以上です♪



(………結局チートスキルだったかあ)


俺はこめかみを押さえていた。能力はチートだが身を守る術が無さすぎる。もし周囲にこの事がバレたらまずいことになるだろう。


(とにかく、波を立てないようにこの国を去ろう。イルドランがどんな場所かわからないが明日のことは明日考えればいい)


決意が固まった所で、自分の名前が呼ばれていることに気づいた。



「あっ!手続きが終わりました。こちらの方々があなたの護衛をしてくれる冒険者達です。」



「よろしく頼む。商人」

漆黒の槍を持った筋骨粒々の男がてを差し出し握手を求めてきた。


「·········」

「どうした?俺の顔に何かついているのか?」

「あっ……いえ、何でもないです……。こちらこそよろしくお願いします!」


手を握ると、ブンブンと振られた。……少し痛かった。

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