うそつき
白芯木 波音与
うそつき
家族はいない
父親も
母親も
兄弟も
姉妹も
みんな 私を指差し言い切った
橋の下で拾った子
車に乗せて攫った子
誰にも似ていない 不実の子
だからこそ
優しい気持ちで育ててくれた
血の繋がりが無くたって
命の一つに代わりはないもの
うそつき
本当に
他人の子なら川へ流していた
本当に
攫った子なら客間に飾っていた
本当に
不実の子なら殺していた
本当は
未来に繋ぐ希望の子
家族はいらない
父親も
母親も
兄弟も
姉妹も
みんな みんな うそつきだから
子どもはいらない
たくさんたくさん うそついて
澱んで
腐った
毒の水
砂に混ぜた 泥人形
そんな子 一人でたくさんだもの
誰にも似てない 蝋人形
鏡に写る 泥人形
私は私に うそついた
私が私に うそついた
そろそろ うそが尽きちゃった
そもそも うそに飽きちゃった
だから
ううん
だからこそ
優しい気持ちで育てよう
血の繋がりが無くたって
命の一つに代わりはないもの
うそつき 白芯木 波音与 @halberd1561
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます