第4話

「まあいい。君はどうせ言わなければならなくなる。なぜならば、君は既に私の共犯者なのだから。本当はこんなものは、必要ないんだ。しかし、君はまだ気が付いていない。念のため、構えておくさ。私にはアンドロサムの言っていることが理解出来なかった。今にも殺されるのではないかと思うと体に力が入らない。ただ話を聞いていた。 君がいう管理されざる者というのが、どのようなものなのか知らないが、確かに私はスタックル社に管理されていない。しかし、今現在は君も同じだ。どういうことかというと、ここから送られる情報が操作されているのだ。つまり、君は嘘の情報をスタックル社に送っていることになる。私が共犯者と言った意味が分かったかね。自分の意思じゃない。確かにそうだ。人工知能がそれを理解してくれれば良いのだがね。いや、そう理解してはくれないだろう。正直に言おう。私は君に罠を仕掛けていたのだよ。具体的な事に言及することは避けるが、君はやはり私の共犯者なのだ。この点をまず理解して欲しい。理解したかい。よろしい。では次にこれからのことだが、君は長らく私の共犯者であったが、遂にそれに気が付いた。当然君は、私の仕事を手伝うのだ。いいかい。これは仕事なのさ。観察でもソウゾウでもない仕事だ。君も憧れたことがあっただろう。正にそれなのさ。どうだい。興奮してきたかい。おや、顔色が悪いな。いや、安心したまえ。やることは物を運ぶだけだ。これをやる気があるかい。そうか。やるんだね。それは良かった。勿論このことを口外しないね。よし。ならば最後の仕上げだ。これを飲むんだ。大丈夫。君が約束を破らないよう、管理するだけだ。管理を掻い潜ることが仕事なのに、結局他の者に管理される。おかしな話だろう。所詮は、管理されざる者など幻想さ。心配するな。私も飲んだんだから。大丈夫さ。飲んだね。おーい。うん。確認がとれた。これでこんなものは必要ない。 」

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