第26話 女神の晩酌、ンゴ

惑星オルダ。

地球には馴染みのない【魔素】と呼ばれる未知の元素がある世界。

【魔素】は感情やイメージに干渉し、様々な現象を引き起こす。


はるか昔、この世界とは異次元の星『地球』より訪れたとされる『ムー』。

原住民との争い、支配、革命、そして争い。

幾度となく衝突し草木は枯れ、水は干からび、星が死のうとしていた。

ある日、奇跡が起きた。

古代兵器の衝突により魔素が複雑に混ざり、意思を持ち、形を成した。

人智を超える人型超異魔生物を人々は恐れ、敬い、称え、この星と同じ名前で呼ぶ。

彼女は人々から争いを奪い調和を与え、水と木々を蘇らせた。

しかし、彼女の強大な力は人智を超え、ただそこにいるだけであるものは廃人に、あるものは超人へと変貌を与え、自身の影響は争いの火種になってしまった。

彼女は自らを恐れ、自らの代わりに世界を守る者を創造した。

一柱は魔素より生まれし力あるもの者『ギーガ』。

一柱は大地より生まれし者生命を生み出すもの『ツイフェ』。

それぞれの役割を自身はこの世界とは違う高次元の世界へ旅立った。

高次元からも世界を見守る献身的な彼女を、いつしか『調停神』と呼ぶようになる。


――――――――――――


私が産まれて約数千年、世界は実りに溢れ以前あったとされるのような緑と青の美しい星になった。

たまに献上品が届いたり、祈りがあったり、ギーガやツイフェが会いに来てくれてそれなりに楽しんでいる。

しかし、最近問題がある。

要塞都市『ムー』だ。

かつての栄光を求めて古代兵器の復活や、戦争の準備をしているそうだ。

ギーガが対応に追われていると愚痴っていた。

問題はツイフェだ。


ツイフェ「ねーオルダ様!古代兵器ってマジやばくね!ピカピカーーって光って派手だし、ちょースケールデカいしマジやばくね!?それとーギーガの奴が【スキル】とか【ダンジョン】とかってのやろうとしてんだけど〜?アレ、アーシにやらしてくんね?」


オルダ「…ギーガと相談して決めなさい!」


最近明らかに『ムー』の影響を受けている。

このままでは不味いと思っていた頃、最悪なことに高次元へギーガが来てしまった。

つまりたかが外れたツイフェが高次元からギーガが戻る間に好き放題してしまうことになる。

均等な力ではツイフェに負ける可能性もあるので私がギーガとツイフェを創造した時の創造の力を一時的にギーガに授けることにした。

その力で『七大災厄』という上位生命体をつくりだし、無事にツイフェの封印と『ムー』の破壊に成功した。

しかし、『ムー』の系譜は滅ぼしても滅ぼしてもドコからか現れ、【勇者召喚】などという『ムー』が元あったとされる世界『地球』から拉致する禁呪を何時の頃からか使い始める。

どういう方法かわからないがツイフェの影響を受けているのは間違いない。

現在でいう『アクシツコレステ王国』が『ムー』の系譜にあたる。

もう何度目かの【勇者召喚】、私はもう先に感知することが出来るようになったのだが、今回史上初めて【勇者召喚】巻き込まれた者が居た。

ツイフェからも気づかれて無いようで、可愛そうだと思って私が直接力を与えた。

結果、『七大災厄』の『ムー』を潰してくれた猫ちゃんや、ギーガが崇拝するような料理を世界にもたらしている。

普段食事を取らない私もよだれを隠せない。

私は…私は昔からお酒が大好きだから…できれば、お酒…お酒…。

神棚を創造した私グッジョブ!



ファーーーッッッ!!??

すんごいもぅ!?

ビール、日本酒、ハイボール、更に割り用炭酸水とブロック氷。

そして冷やし中華、生姜焼き定食、さきいか、たらチーズ、ナッツ。

そしてデザートに2Lバニラアイスと冷凍ベルギーワッフル。

鑑定で見たりで解析したけどどれも美味しそう…バニラアイス・ブロック氷・冷凍ワッフルは氷結魔法で冷やしてから熱々の生姜焼き定食とキンキンビールをまだお昼からいただく。


ッッッッッッカァーーー!!喉越しィ!!

生姜焼きの濃いめの味と抜群の相性、ご飯も進むわ〜。

味噌汁で落ち着いてたくあんを食べてここで……くぅ〜〜!!

食べても魔生物である私はすぐに魔素に変換されるからいくらでも食べれる!

さてさて、次は冷やし中華とハイボール…ああああああっ!辛子と相性最高じゃん!!

ハイボール!ハイボール!香りもいいし飲みやすいし―――かぁあああ!なんか熱くなって来ちゃった〜〜www!

ここで〜、日本酒と〜おつまみ達で〜キュッっと…あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッッッッ!止まんねぇ!ギャハハハハハ!

さきいかと日本酒ってなんでこんな熟年夫婦みたいにんだろう?

さきいかからだと〜イカの旨味が引き立つしぃ〜。

日本酒からだと〜お米の香りがふわって広がるしぃ〜。

両方一緒だと…くぅぅうううッ!!海になる(?)。

えぇ゛ッ!?たらチーズうんまぁ!?これ酒を催促する化け物でしょ?

ナッツ!いつ食べても何と食べても主張しすぎない、嬉しいところでお酒引き立ててくれるわぁ〜!

わぁッわぁッわ!…消えた?口の中に幸福だけを残してスッと消えた!?

これがバニラアイスクリーム?甘味の暴力?美味すぎて酔いがちょっと覚めた?

うふふ〜、このワッフル、生地の中にちっちゃい角砂糖が入ってるから甘いし食感楽しいし……!待って!?

甘ーーーーーーーい!!

ワッフルにバニラ乗せるとふわ甘で相性よくて…そこにハイボールをドーン!っっあ゛あ゛!。

ハイボールにバニラ乗せたらどうなっちゃうかなな〜〜うーーーん犯罪♡

これも〜あれも〜うふふ〜、こんなに楽しいの産まれて初めてかも〜……――――――




――――――反省します、あれだけの量を2時間で完飲完食してしまった自分に。

もう気持ちよくって最後は日本酒もハイボール(原液)もラッパ飲みしてしまった。

もう無い…まぁしょうが無い事なのだが。

魔生物だから酔いも早めに醒めて、気がついたら虚しくなった。


オルダ「うっ…」


知らなければよかったのかも知れない。

もうビールが、ハイボールが、日本酒が飲みたい。

惑星オルダから献上されるお酒とは比較になれないハイクオリティー。

もう既に恋しくて涙目になっている。


オルダ「そうだ!夢に干渉して…はぁ、何をやってるのかしら私…」


私は調停神と呼ばれる存在、あれだけ頂いたのに…そんな恥知らずなこと…出来るわけが……。


――――――――――――


オルダ「どみんく〜ん!お願い!お酒献上して!私に出来ること何でもするから〜!」


どみん「……結構献上したはずンゴ?」


オルダ「うっ!えと…えへへww」


どみん「もう寝かせてンゴ」


オルダ「お願い!今回だけだからお酒頂戴!お酒〜!」


どみん「…えっと、確かギーガさんの上司さんンゴ?ギーガさんがいいよって言ったらいいですンゴ」


オルダ「!?」


あれ?これってドコかで聞いたことあるような無いような……えへへ。

その後ギーガに念話で連絡を取ったところ、ドギツく怒られました。

「やはり創造主も創造物も一緒だな!そんなのと同じ系列の存在だと思うとわしはわしが腹ただしい!!」とごもっともな事を言われ、一週間に一回の催促となりました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る