第13話 決闘準備ンゴ
ヨコズナ「お、おお、これが妹が言ってた料理の一端か〜」
どみん「妹?」
ヨコズナ「俺はヨコズナ・ゴッチャンコ、妹はチャンコ・ゴッチャンコだ」
どみん「あ、あ〜(納得)」
よく見なくても見た目が似ている。
むしろチャンコさんに最初合った時になぜ気づかなかったというレベル。
どみん「たしか汚い油汚れみたいな名前の組織はほっといていいンゴ?」
イグル「ああ、ダーディラードね。ヨコズナは任務の一環とし来てるけど、俺は辞めた。お前との決着が優先だ!まぁその前に腹ごなしかな…(じゅる)」
目の前に置いたたけのこごはんとたけのこたっぷりの春巻きが気になるようだ。
自分の食事でもあるので、それにプラスでたけのことわかめの味噌汁も付けた。
なぜたけのこなのかと言うと、実はこのダンジョンに来る途中でものすごいでかい竹林をみつけたのだ。
その地主さんが冒険者に「この竹林を駆逐してくれ」という以来をしていたらしいので、せめてたけのこを取らしてもらえるようにお願いした(ミィアたんが交渉)。
結果、大量のたけのこ(約1t)を入手することが出来た。
ンゴの召喚屋台は、召喚しない限り中に置いた物は時間が止まりので、詰め込めるだけ詰め込んだ。
スキルで呼び出すまではどこか異次元に存在するので、重さな保存もできて持ち運びが可能である。
ただし屋台からはみ出たものは持ち運べないので注意が必要。
ンゴはたけのこが大好物なので、たけのこごはん・春巻き・味噌汁以外にも筑前煮、天ぷらで楽しむ予定だ。
ヨコズナ「うすッ!!?シャキシャキの食感、もちもちの歯ごたえ、更に香ばしい味わい…なんという至高の時間…」
イグル「パリッパリの皮に中の火傷しそうなほど熱々の旨味の強い餡、何種類もの様々な歯ごたえの面白さ…のっぽ!お前いつもこんなうめぇもん食ってのかよ…」
ミィア「にゃぁ〜この味噌汁は食感が面白くてわかめの味が染みて落ち着くにゃ〜」
ミィアたんは陰魔法で無数の影の手を発生させ、箸もナイフも卓上調味料も上手に使いこなしている。
ンゴも実食…うんうん、美味しく出来てる!
味噌汁には【業務マーケット】の丼だしを使ったけど上手くハマってる。
このレベルなら今度親子丼やカツ丼なんか作っても面白そうンゴ!
それはそれとして…
どみん「イグルさん、真剣な話ンゴ。決闘って言うからには命をかける必要があると思うンゴ、覚悟はあるンゴ?」
イグル「あったりめぇだろ!異世界ってのはぬるま湯なんだろ?お前こそどうなんだよ!」
どみん「ンゴの冠水家は現代の価値観とは違うンゴ。もし殺るなら全ての準備してからやる。結果として死んでも恨みっこ無しだけど…承知か?」
イグル「おおう、その目だ。冷徹で残忍なその目。ヨコズナの腕を切った時に一切の躊躇のない目。そうこなくちゃダーディラードをやめた甲斐がある!」
どみん「!ヨコズナさんでしたっけ?切った傷は治ったンゴ?」
ヨコズナ「もちゃもちゃ、がつがつがつがつ、ゴクン…あぁ、回復魔法を受けたからこの通り」
どみん「はぇ~!痕すら無いンゴ…と話はそれたけど、1週間後のオリーブ領中央広場ンゴね、承諾ンゴ」
イグル「へっ!楽しみにしてるぜ!行くぞヨコズナ!」
ヨコズナ「うす。チャンコによろしく言っといてくれ。それとチャンコの知り合いならダーディラードの命令でも俺が聞くことは無い。こんな旨い料理の方が大事だしな。イグルに負けるなよ!」
イグル「オイ!テメェ……」
どみん「帰っちゃった。嵐のような人達ンゴね〜。さていろんな準備が必要ンゴね…」
ミィア「にゃぁ〜ん…むにゃむにゃ…にゃあが蹴散らしてやるにゃ?」
どみん「それはズルいンゴ。曲りなりに真正面から啖呵を切った相手に失礼ンゴ。…本気でヤるから気にしないで大丈夫ンゴよ」
イグルとかって人と戦うに当たって単純に武器が無さ過ぎる。
銅玉の接着ぐらいならンゴでも出来るけど…
地上に出たらローザスさんに聞いてみよう。
なんか色々協力してくれるって話だったし。
―――翌日朝、オリーブ領・領主邸―――
どみん「こ、ここ?」
ミィア「でっかいにゃ〜」
なんか東京ドームがまるまる3つ入りそうな大きさの豪邸が目の前にあった。
こんな大きさが必要だろうか?と考えるンゴは貧相な思考なのだろうか?
ともかくここまで来たら門番の人に声を…声を…えっと、声を…
門番達「「お猫様!!」」
ミィア「にゃ!ローザちゃんに会いに来たにゃ!どみんも一緒にゃ!伝えてほしいにゃ」
門番達「「かしこまりました!!」」
あ…ンゴは必要ないンゴ…
ミィア「ミィアが居る時は任せてにゃ(フンㇲ)」
従魔契約で繋がっているとなんとなく思考を共有できるので、ミィアたんはンゴが陰キャコミュ障であることを承知してくれてる。
頼りない陰キャ主人で申し訳ないンゴ…。
ローザ「あっ―――あ!どみん!おーい」
すっかり女の子の格好をしているローザスさん。
なんか中世辺りのご令嬢って感じの服装で、局部の脂肪が強調されてる感じ。
男装の趣味は辞めたンゴか?
有名なコスプレイベントとかなら1日中声がかかるぐらいには似合ってたと思うけど?
ローザ「ど、どうかな?最近女の格好をする機会が増えてね、何か胸元がスースーして不思議な気分なんだよね(チラッチラッ)」
どみん「そんな事より「そんな事より!?」実はお願いがあって尋ねてきたンゴ。特に命を救ったお礼の接待を受けたいとかは無いからそういうのは要らないンゴよ?」
ローザ「…(母上、おっぱいに興味の無い人にはどうアピールするのですか!?)一体どんな事かい?」
どみん「実は、腕の良い鍛冶師の方とかいらっしゃれば仲介をお願いしたいンゴ」
ローザ「鍛冶師?それはまたなぜ今なんだ?」
どみん「えっと、『ダーディラード』のイグルって人に決闘を申し込まれてしぶしぶ引き受けてしまったンゴ。それで―――」
ローザ「まてまて!?一大事じゃないか!神童イグル・シルフィードはこの国でも指折りの実力者。この前はなんとか逃げれたけど一対一の真剣勝負ともなると…」
どみん「だから、武器を…それもオーダーメイドしたいンゴ!」
ローザ「うん…一人知ってる。でも偏屈な人だから実力は確かでも打ってくれるかは交渉次第になると思う…」
どみん「と、ともかく会ってみたいンゴ」
交渉次第と言われると、陰キャには出来る未来が見えないンゴね。
ミィアたんにお願いしてもらうンゴね。
ローザスさんの話では明日冒険者ギルドで朝方会える予定。
一度地上に出ると『オレーフノキダンジョン』の3階降りるには2〜3時間かかる。
お金に困ってないしダンジョンでの営業はしばらくお休みする予定。
宿に戻るとダンジョンでとった色々な毒虫や毒草、気味の悪い液体をずらりと並べる。
危ないのでミィアたんには別室に移動してもらい、【業務マーケット】で買ったマスクとビニール手袋で様々な調合を始める。
武田信玄公家臣、冠水家は特別武芸に秀でたわけでも諜報に秀でたわけでもなくどれも
並よりやや上程度。
しかし、信玄公ですら恐れる他を寄せ付けぬ才覚がある。
“毒”の術である。
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