第7話 猫陰山にて、ンゴ
どみん「嫌ンゴーーー!もう執事服は絶対着ないンゴーーー」
猫陰山という、オリーブ領とエクストラ領を阻む険しい山とやらをンゴ達は登っている。
西門の騒動からすぐにンゴは元の格好に戻り前髪くしゃくしゃにして落ち着いたンゴに、チャンコさん以外は滅茶苦茶に執事服を推してくるンゴ!
やめてほしいンゴよ!!
リーン「まっ、待て!アーシ等悪かったから待てって!」
ミレディ「はぁはぁ、斥候の私より早い〜、この足場の悪い坂道を何であんな苦も無く登れちゃうの〜?」
チャンコ「ち…ちゃす…(休ませての意)」
ローザス「あー!チャンコさん!?待ってどみん!チャンコさんが倒れた!」
どみん「ふぇ?もうンゴか?うーん、ちょっと早いけど飯にするンゴ?」
チャンコ「ちゃっすーーー!!(
どみん「よし、まずは【屋台召喚Lv1】」
ずどん!!
「「おっ!?おお!??」」
急に屋台が出てきて『銀斧』の人達驚いてるンゴ。さて、何を作ろうか?
リーン「こ、こいつはすげぇ!イスに…カウンターか?」
ローザス「ちょっとまて、いま僕の【鑑定】で見たらこの建築物を中心に3mは結界が張られてるらしいぞ!」
ミレディ「移動できる『セイフティーゾーン』って事!?ダンジョンで唯一休む事の出来る貴重な『セイフティーゾーン』が何時でもどこでもって事!?ねぇどみんくん、お姉さんといい事しない♡」
チャンコ「ちゃすぅ!!(そんな事いいからさっさと飯にしやがれの意)」
どみん「じゃあチャンコさんが何か食べたいものを作るンゴよ?」
チャンコ「ちゃちゃちゃすッ!?(卵とご飯をたっぷり使った噂に聞く料理!!)」
ミレディ「卵とご飯の料理ですって〜」
どみん「任せるンゴ!でもお米炊くのに時間がかかるからこれでも食べてゆっくりするンゴ」
と言ってンゴは2000円分の【業務マーケット】特有のバイヤーが海外から買い付けたであろうチョコレートやポテチ、クッキーなどお菓子類とからのジョッキとジュースをカウンターに広げる。
チャンコ「ちゃちゃす?(この芳醇な甘い香りは!んほ〜♡の意)」
リース「ヤバ、チョコレートだ。一個で金貨相当で、アーシみたいな伯爵家でも指の数も食べたことのない超高級菓子だ…」
ミレディ「私はこのクッキーでも…ッ!?チョコ入ってるじゃん甘ーーー!!」
ローザス「この濃厚オレンジジュース砂糖を飲んでるみたいに甘いのに後味スッキリだからいくらでも飲めちゃう…」
何やら好評なようなのでこの間には余りのお米を【屋台召喚】に備え付けの炊飯器にかける。
先日の天津飯の時は謎の疲労でクラっときたが、今回はだいぶマシになっている。
これが魔力の感覚…というやつなのだろうか?
炊飯の間にエクストラ領を出る前に買い足した玉ねぎを刻む。
本当は葱がいいのだが出店に売ってないのだからしょうが無い。
ちなみに、【屋台召喚】の屋台スペースがそのまま荷物置きに出来てしまったのでンゴの親友の同級生まっちゃんが好きな【アイテムボックス】とか言うものの代わりになっているとは思う。
玉ねぎをみじん切りにしたらボウルに移し、次は燻製肉(オーク肉)を刻んでいく。
本来はこちらもチャーシューなのだが葱の青いところが無いので断念。
燻製肉を刻み終わったらこちらもボウルに移す。
そして赤かまぼこも刻んでおく、これがあるとちょっと嬉しい。
次に中華鍋に火を通していくのだがここで、
どみん「チャンコさん!お願いできるンゴ?」
チャンコ「ちゃす!(同意の意)【ウィザードLV1コマンド ファイアーボール(小)】」
厨房の火は魔力を使いすぎてしまうため一流の魔術師であるチャンコさんに事前に協力を仰いでいた。
中華鍋に〈空焼き〉と〈油通し〉をする。
これからやる料理には欠かせない工程だ、なにせ今から作るのは…
―――
地球上に存在する至高料理の一つであることは間違いない、シンプルで味わい深い日本人が最も好む料理の一つ。
そのうちお米が炊けて事前にお皿に盛り軽く蒸気を飛ばして下準備は完了。
どみん「ここから早いンゴよ!チャンコさん!強めによろしくンゴ!」
チャンコ「【ファイヤーボール(中)】」
油を引き直し、おたまに卵を割っておく。
『冠水食堂』のチャーハンは卵を混ぜずにめだまから鍋に投入してから黄身を潰し混ぜるスタイル。
こうすることで黄身の味をより味わえるンゴね!
すぐに先程ののご飯を投入、刻んだ玉ねぎと燻製肉とかまぼこもすくざま混ぜ合わせ鍋を振るって米が宙に舞う!
「「「おおおお〜!」」」
カンカンとおたまで米溜まりを潰しつつ、中華だしと塩コショウ、うま味調味料を適量入れ更に混ぜ合わせてから鍋を振るって米を放り上げおたまでキャッチし、町中華らしい側デコボコ皿に盛る。
皿端に紅生姜とレンゲを添えて、ちょっととろみを付けた卵スープを添えてカウンターにどんっ!!
どみん「おまたせンゴ!応用食材の『冠水炒飯』完成ンゴ!」
「「ひゃぁ〜!待ってました!!」」
レンゲですくって、一同パクリ。
「「!!??」」
静寂。
どみん「はぇ?どうしたンゴ?口に合わな―――」
リーン「旨すぎんだろコレぇええええ!?馬鹿かよ!パラッパラだよ!まるで飲み物だよオイ!」
ミレディ「凄い…一粒一粒しっかり味がついてる…玉ねぎは甘いし、燻製肉はぎゅっと味を引き締めてすごく良いアクセント…この卵スープがいい仕事するわ〜」
ローザス「卵を完全に米が纏っている!なんて洗練された味…はっ!このピンクの細長いピクルスを食べた瞬間、油っぽい口の中がリセットされてしまった!?永久に食べれてしまうではないかーー!」
チャンコ「ちゃすあああああ!!ちゃすちゃすちゃす〜(興奮して解読不可)」
うわあああ?チャンコさん皿傾けて飲んでるンゴ!調理人冥利ンゴね!
???「にゃ〜ん」
ん、猫?どこから入って―――
ってうぉい!?1.5mくらいあるンゴ!?虎ンゴか?
でも黒い毛並みにチャーミングな顔立ち、スルリと伸びた腰先には美しい尻尾をふりふり…萌えるンゴね!
???「にゃにゃ」
どみん「わわっ、炒飯欲しいンゴか?でも、猫ちゃんには塩分過多になるんじゃ…!ローザスさん!」
ローザス「どうしたどみん!?おかわりか!おかわりがあるのか!!」
どみん「おかわりはあるンゴよ?でもその前にこの猫ちゃんを鑑定して餌をあげていいか【鑑定】してもらっていいンゴ?」
ローザス「!魔物じゃないか…でも結界が破られた気配は無いから悪意はないのか?まぁ魔物であれば人間と同じ料理を食べて支障は無いが…あげちゃうのか?」
どみん「せっかくだし餌付けしたいンゴ。ンゴは猫ちゃん大好きンゴよ!よーしよし、ゆっくりお食べ〜」
猫?「な〜ん!にゃにゃ(もしゃもしゃ)!!ッ、ゴロゴロゴロ!!ふにゃーー!!」
リーン「なんだ!魔物じゃねーか…でもかわいいからいっか。ちょっと触ってもいいかな?」
ミレディ「だめよリーンちゃん!猫ちゃんは食べてる時邪魔されたら怒っちゃうわ?それにしてもきれいな毛並みね〜後で私もお触りしたいわ〜」
ほわわ〜んとした雰囲気〜アニマルセラピー最高ンゴ〜!!
ローザス「うむカワイイ(真顔)。害は無さそうだが魔物は魔物、一応【魔物鑑定Lv7】をしておこうか…?えぇ?いや見間違いかな…!!えっえっ!?え―――」
突然ローザスさんが自分のスキルボードを見て口をくぱくぱさせてるンゴね?
顔が青ざめて…大丈夫ンゴか?
カシャーーン!
あっレンゲを落としたンゴ?ローザスさん小刻みに震えだして…トイレンゴか?
ローザス「みんな!そいつから離れて!殺される!全滅だ…なんで、なんでこんなところに!?嫌だ!死にたくない…」
リーン「おいおい、どうした!?確かに見たこと無い魔物だが…何が見えた?」
ローザス「『七大災厄・ネクロパンサー』…」
リーン「は?なんて言った?」
ローザス「『七大災厄・ネクロパンサー』!!『要塞陥とし』『S級モンスター』の!!」
「「ひっ!」」
その場に居た『銀斧』のメンバーは青ざめ腰を抜かした。
足は震え、立ち上がれなく鳴るほどこのデカニャンコに怯えている様子だ。
その状態でひたすら食べ続けているチャンコさんは流石ンゴ!
どみん「『七大災厄』…って何ンゴ?」
ローザス「かつて…豊穣の神ツイフェと魔神ギーガの争いにて魔神が創り出した7体の最上位モンスター。女王・海底王・竜神王・巨人王・精霊王・魔王。そして目の前に居るのが怠惰の獣王『ネクロパンサー』!!古代要塞『ムー』を一夜にして滅ぼした伝説の魔獣。この世に存在する最高レベルのA級を超える人智を越えたS級モンスター。目にしたものは灰すら残らず、ただ滅びの運命を辿るのみ…」
何か迫真の表情で突然中2っぽいことを言い出すローザスさんをただただデカニャンコのアゴを撫でながら聞いていた。
どみん「お前、凄いンゴね〜」
ネクロパンサー「にゃ!」
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