第8話 ネクロパンサー・ミィア ンゴ

SIDE ???


魔神の胚より生まれし7体の災厄。

全ての生物を魅了する女王、色欲のサキュバスクイーン。

大いなる天空の覇王、傲慢のバハムント。

大地を揺るがす巨躯、憤怒のアトラス。

全てを飲み込む深海の支配者、暴食のリヴァイアサン。

俗世を好まぬ新緑の精霊王、嫉妬のオーバースピリット。

世界の混沌に連なる煉獄の魔王、強欲のサターン

影に住む破滅の獣王、怠惰のネクロパンサー

肩書は立派だけど、ぶっちゃけみんな自分勝手に生きてる曲者揃いにゃ。

そんなウチ達もあの性格が終わってるぶりっ子クソ女神と戦う時は一致団結したにゃ!

世界の均衡も考えずスキルをポカスカ与える女神にブチギレした魔神ボスと千年前にカチコミしてやったにゃ!

封印してやったけど、【勇者召喚】とかいう嫌がらせの禁呪のせいで度々世界が荒れてしまってるにゃ、女神と魔神ボスの上には調停神って奴が居るはずにゃのにウチより怠惰だにゃん。

今回も【勇者召喚】されたにゃ!本当にあきにゃい女神ドブスで腹立つにゃ!

お気に入りの森で食っちゃ寝ゴロゴロして過ごしてるのに、魔神からテレパシーで強制活動させられてるにゃ…。

働いたら負けにゃ!労働は悪にゃ!生物は食っちゃ寝するために生きてるにゃ!

今回また魔王にゃんとウチの近所に召喚されてるにゃ、いい加減にしてほしいにゃ。

その一人がウチのねぐらに来てるらしくて本当に憂鬱にゃ。

どんなに馬鹿げたチートスキルでも、ウチ達『七大災厄』は【スキルキャンセラー】があるから無駄にゃ。

影に潜伏して、いつもみたいに死角から首跳ねて終わりにゃ!


―――くんくん、なんにゃ?この…ときめく匂いは?

海の匂い(中華だしとかまぼこ)と鳥の卵?がジュージューしていい香りが漂ってくるにゃ〜。

あ、結界にゃ。

無駄にゃ無駄にゃ、ウチの【陰魔法】の移動はどんなにゃ!

あ…結界の中はもっと濃厚な匂いにゃ!


ネクロパンサー「にゃ!」


この目の前の黒髪の人族は間違いなく異界から来た漂流者にゃ。

でも今までの敵意と憎悪に歪んだ気持ち悪い感覚が無いにゃ。

この漂流者…何だかホッとする雰囲気…あったかい感じにゃ。

!その米から滅茶苦茶に良い匂いにゃ…くれるのかにゃ?この人族良いやつにゃ!

もしゃもしゃ…う、旨!!―――旨すぎだにゃ!?止まらないにゃ!抗えないにゃ!


まず米はパラパラしてるのに、噛めばもちっとして甘い、そのくせ海の香りと胡椒と塩味が一粒一粒にコーティングされてて美味しいが終わらないにゃ!

この黄色い旨いやつは卵かにゃ?コレがあるせいで複雑な味わいに一体感が生まれるにゃ!コクが凄いにゃ!

あ〜玉ねぎと歯ごたえのある肉が食感を楽しませるにゃ!甘さと塩辛さが米と合わさる事で本来の旨さが際立つにゃ〜。

口が油っぽくなったらピンクの不思議ジンジャーが中和させてくれたにゃ、こんな食べたのにすぐ食べたくなる…この料理にこのピクルスをつけた奴は悪魔の所業だにゃ〜。




―――満足だにゃ。

コレを食べてしまったらもう今までの食事は生臭いだけの血溜まりにゃ…

もっと食べたいにゃ!魔神ボスの事はこの際どうでもいいにゃ!ここでこの異界人族を殺したらもう食べれないし、なんかこいつ優しくて殺したくないにゃ…そうにゃ!!


ネクロパンサー「にゃーーー!」


どみん「うわっどうしたの!」


おでことおでこを合わせて【従魔契約】するのにゃ!

そうすれば魔神ボスのテレパシーも届かにゃくなるにゃ。

それに……



―――SIDE どみん


ネクロパンサー「喋ることもできるようになるにゃ!」


「「ええ〜〜〜!!???」」


どみん「喋れたンゴか!?」


ネクロパンサー「おでことおでこを合わせて魔力を交換したから【従魔契約】したにゃ!」


ローザス「じゅ、【従魔契約】!?互いに五分の関係になり、契約が切れるまで友好な関係を築くという失われたロストスキル!【人物鑑定Lv5】…あ、どみんの従魔の欄に‘ネクロパンサー(名無し)’が追加されてる…」


どみん「へぇ〜!賢いンゴね〜、よしよーし」


ネクロパンサー「にゃ〜ゴロゴロゴロ〜ウチ、名前ほしいにゃ!」


どみん「名前?」


ローザス「……あ…!ほがッ!?ど、どみん殿、【従魔契約】は数百年事例がないけど、確かイノガシー・ラゴロの冒険譚によれば互いに名前を呼び合うことで契約が成立するうんぬんかんぬん…」


どみん「そうなンゴ?う〜ん…タマ!」


ネクロパンサー「や!(ぷいっ)」


どみん「えっと…タピオカ!」


ネクロパンサー「センス感じないにゃ」


どみん「えと…もうっ『ミィア』!『ミィア』たんでどうンゴ!?」


あっぐ、流石に自分の好きなキャラの名前をつけるのはイタすぎるンゴか…?


ミィア「うん、いいにゃ!気に入ったにゃ♪」


するとデカニャンコ、ミィアたんの体が白く光ると次第に首元へ収まっていき、首元には白い首輪のような模様がついていた。


どみん「熱っ?」


ふと首に触れる。


ローザス「驚いた、その首の白い模様は【従魔契約】の証らしい。でもどちらかに不満があると、青→黄色→赤→最後は消滅らしいよ?」


ミィア「当然にゃ!互いに五分の関係だにゃ。女神ドブスのヤツが好む【テイム】とかいうブラック従魔契約とは違うにゃ。…そんなことよりおかわりを要求するにゃ!」


ミレディ「いや、そんなことって…でも卵スープおかわり〜!」


チャンコ「ちゃす(おかわりの意)」


リーン「って、無くなっちまうじゃねーか!!アタイにも炒飯のおかわりを寄越しな!」


ローザス「はぁ〜、何が何だか…緊張して損した。ハイハイハイ!おかわり!おかわり!」




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜




お米20合が消えたンゴ?

みんなお腹を擦って満足げだからいいけど…ンゴの分も欲しかったンゴね。


ミレディ「ミィアちゃ〜ん、ここどう?ここ好き?」


ミィア「にゃにゃにゃ〜」


チャンコ「ZZZ」


ローザス「や〜ん、モッフモフ〜」


リーン「男装してることも忘れて完全にメスになってるじゃねぇか?さっきの震え顔はどこにいったんだよ」


すっかり馴染んでしまったミィアたんを横目に食器を洗っている。

ンゴもモフりたいンゴが…

そういえば残りのお金は金貨3枚まで減ってしまった。

食材以外にも現地の服やら布団などを買っていたからである。

【屋台召喚Lv2】さえあれば雨を防げるし、何やら結界がついているそうだし、実はクーラーがついているので魔力さえあればかなり快適だ。

ん?

【屋台召喚Lv2】!?


どみん「【スキルボード】!」




ユニークスキル【町中華】 観客満足度20人到達でレベル上昇(NEXT100人)

コマンド    【屋台召喚LV2】 魔力軽減 NEW!

           ▶ 【業務マーケットLV2】 冷凍食品 NEW!

現在 ・冷凍食品 ・日用品 ・酒 ・青果 ・生肉 ・パック商品 ・乾物+缶詰 ・惣菜 ・???

LV3に到達時に ・日用品 ・スペース拡張+トイレを解禁。

▶ ドリンク

  常温商品

  冷凍食品




どみん「か、勝ったンゴォ!!【業務マーケット】の冷凍食品は勝ち確ンゴよ!!」


ローザス「ど、どしたのどみん?そんな大声出して!?」


おっと、キチゲ解放した時のような突発的な声を出してしまった…。

反省するンゴよ。


どみん「スキルがレベルアップしたンゴよ!これでレパートリーが格段に上がるンゴ!今後の料理に期待してほしいンゴよ」

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