第9話 やっぱり、病院ですよね

会場についた俺だが、やはり少し早く着いてしまった為、人が来ていなかった。


いるとしたら対戦校の人達だったので、校門の近くで待つ事になった。


それでも少しすると監督を始めとして、マネージャー、チームメイトと揃い始めた。


「おはようございます!」

「おう」


監督はどっかのアニメに影響されたのか、ラーメン屋の三角巾にサングラスをつけていた。


超次元サッカーでもするつもりなのだろうか。


確実にそれを意識している服装な気がするが、どうせすぐ変わるだろう。


「裕太、今日も頼むぞ」

「お前こそ外すなよ?」


そういい、俺の背中を叩いたのだが、振動によって折れた腕が痛み出した。


「いてぇぇ!」

「おいおい、そんな強くしてないぞ?」


俺のリアクションが大きすぎたからか、自分の手のひらを見ながら、力の確認をしてきたが、これは仕方ないのだ。


「さっき怪我したからクソ痛い」

「修斗くんそれでサッカーできるの?」


横山さんから心配されているが、腕を使わなければ、問題ないはずだ。


「フィジカルコンタクト控えめにすれば行ける」

「湿布貼ってるの?」

「あ〜」


うん、そういえば何も対処してなかった。

流石に湿布くらいは貼らないとダメかと思い、横山さんの持っているカバンを見た。


「えっと、湿布あるよね?」


俺が何も対処していないと知って、横山さんはため息をついて俺をベンチに座らせた。


「小さい怪我でも痛みがあるなら、処置くらいしないとダメだからね?」


「すみません」


当たり前のことを言われてしゅんとした俺だが、慎二が余計なことを言い出した。


「良かったじゃないか。美人マネージャーからの手当てを受けれて」


俺はため息をつくことしか出来ないが、裕太まで参加したことで流石に止めることにした。


「ってことは、ハットトリックか〜」

「それはするけど...誰かに手当てされてパフォーマンスが上がるなら苦労しねぇよ」


そんな事をしていると、俺の肩に手を載せてくる人物がいた。


「安心しろ、これはアニメでよくある展開で、ストライカーがゴールを決める伏線みたいなもんだ」


どうやら、この監督はアニメと現実の違いが分かっていないようだ。


「皆もからかわないで、アップ始めなよ。後、監督もいじらない」


横山さんからの当たり前の忠告に、監督は俺と同じくベンチに座って、サッカーの戦術ボードを開いていた。


(切り替え早っ)


「桜ちゃんに怒られるのも嫌だから、ちゃんとやりまーす」

「確かにアップしとかないとな」


裕太と慎二も軽い感じで、準備を始めていた。


「もう...じゃあ修斗くん、ジャージ脱いでもらえる?」

「分かった」


ジャージを着たままでは、湿布を貼れないと横山さんの催促に俺は答えてジャージを脱いだのだが、横山さんが俺の怪我を見て悲鳴をあげた。


「ちょっと!修斗くんこれ打撲とかじゃないでしょ!?どうしたの?!」

「どうしたんだ?」


横山さんの悲鳴によって寄ってきたチームメイトだが、そいつらは俺の怪我を見て固まってしまった。


(あー、ここまで酷いか)


俺の腕は赤黒く変色していて、それは医者じゃなくてもまともでは無いと判断出来る程だった。


「まさか、妹を人質に取られて...」


この状況でもどっかのアニメに寄せようとしてくる監督だが、本当にどうにかならないものか。


「ちょっと拉致られた」

「「拉致!?!?」」


事実を言ったのだが、全員から驚愕されたあと、その視線がある1人に向いた。


「やめろ」

「だってよ...」


俺はその人に向けられる視線に気づいて、脅すような低い声を出した。


「美咲は何も関係ない。助けてくれただけだ」


美咲は何もしていない。

したとしてもそれは組の問題であって、美咲を責めるのはお門違いもいい所だ。


「....それはいいとして、救急車を呼ぶね...その怪我どうなるか分からないから」


何か言いたげなメンバーだったが、横山さんは俺の体を優先して救急車を呼んだ。


「悪い、迷惑かける」

「いや、練習試合だからいいけどよ...」

「監督もすみません。予選の前には治します」

「分かった。無理はするなよ」

「ありがとうございます」


そう言って俺はサイレンの音のなる方へと歩いていった。





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