第8話

「ねぇっ、ゆうちゃん!」









「………えっ、なになにどうしたの?」



「ごめんなさいっ、もうやらないっ、から………」



「お、お、落ち着け………?」



「他の男のとこ、いっちゃだめ………」



「………え、」









………………なんでこの人はすぐに気づくのだろうか。



私が雷くん以外の男のこと考えてるって。



あの頃はキスマの心配とかしなくて良かったなーって考えてたの、分かっちゃったのかな………?







「いや、いかないよ……?」



「…………な、なんで」





おいおい、自分から絆しておいてなんで、はないでしょ雷さんよ。





「イケメンで高身長で文武両道で彼女想いで………」





ちなみに「彼女想い」とは、ここではクソデカ感情のことをさす。





「男らしくて肝がすわってて、とっても優しくて………」



「………」



「そんな男、他にいる?」





驚いたように目を見開き、ついでに顔も赤くさせる目の前の男。



………純情ボーイか。





「こんな優良物件、自分から手離すわけないじゃーん」



「ゆ、優良物件って………」



「…………こっちは大まじめにそう思ってんの。分かったらさっさといくよ!」



「………」



「お返事は?」



「ゆうちゃんすき………」



「しってる。」





恍惚とした表情を浮かべる男の手を引っ張って家を出る。



ヘラっている男がいるのなら、とりあえず何か言って安心させておけばいい。



………たくましくなったな、私。

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