第9話

「悠ちゃん♪」





手を繋いで登校していると、なんだか後ろから能天気な声が聞こえてきた。




途端に、雷くんの手の力が強まる。






「………何?」





振り向いた私は、きっと般若のような顔をしていたと思う。




せっかく彼氏様が落ち着いたとこなのに話しかけんなよ。


ていうかどっからどうみてもラブラブカップルだろ私ら。


邪魔すんなよバカなのかよ。





「うっわ、声えっろ」



「………は?」



「俺C組の橋本!おぼえといてな!」



「………。」





そういうと駆け足で去っていった橋本とかいうやつ。



後ろにいる友達らしき奴らとギャーギャー騒いでいる。






「ゆうちゃん………」



「大丈夫だよ、あいつら私のこと舐めてるだけ。」



「よくあるの?」



「うん……」






…………残念ながら、私に構いにくる輩は後をたたない。



ちょっかいかけたくなる何かを私が持ち合わせているとは、到底思えないが。





「今度あったら俺にいって?ちょっと注意してくるから」



「うん………ありがと、だいすき。」



「………俺も。」






『ちょっと注意してくる』で済みそうじゃないけど。まあほどほどにしてもらおう。




ていうかあの人、すぐ隣に雷くんがいるのによく私に近づけたな……。




……………度胸だけは認めてあげよう、うん。

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