第7話 夏生のことが大好き(秋実編)

 見た目で判断するのではなく、中身を評価してくれていた。夏生の話を聞いて、そのことをはっきりと認識させられた。


 ダイエットで美人になった女性のところに、男たちが近づいてくる。肥満体型だったときは、「ブス」、「肥満体型」などと悪口をたたいていた輩。他人をいじめていたくせに、よく距離を詰められるな。過去のことがあったこともあり、冷たい感情が芽生えていた。


「山川さん、俺と交際しようぜ。悪いようにはしないからよ」


「ブス」、「肥満体型」といっていたくせに、交際できると思っているのか。こいつらの脳内のねじは、完全にぶっ飛んでいる。


 三角頭の男は、丸坊主の頭に手をのせる。


「こいつなんかより、俺のほうがいいと思うぜ・・・・・・」


 男たちの目線から感じる、いやらしさを伴った性的な視線。体を触られていなくとも、セクハラを受けている気分になった。


「他に好きな人がいるので、お断りします・・・・・・」


 私のありのままを受け入れる男がいる。彼以外と交際するつもりは、毛頭もなかった。


「美人を捨てるへそ曲がり・・・・・・」


 夏生をけなされたからか、自分とは思えないほどの冷たい声を出していた。


「私は私の生きたいように生きていきます。部外者はいちいち、口を挟まないでいただけますか」


 年が同じクラスメイトに、敬語で受け答えしている。こいつらに対して、極めて強いマイナスの感情を持っている。 


「一分、いや一・・・・・・」


 バカを相手にしていても、頭が痛くなるばっかり。席をゆっくりと立ち上がると、ゆっくりとトイレに向かった。

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