第5話 理想に近づいた(秋実編)
4か月という時間をかけて、体重を40キロまで減量できた。
おなかを触ってみる。ぜい肉は完全になくなり、骨と皮だけになっている。理想を形にできたことに対して、両手でガッツポーズをしていた。
手で確かめるだけではなく、自分自陣の姿がどうなっているのかを確認したい。洗面所に設置されている鏡の前に立ってみる。
二つの黒い瞳に飛び込んできたのは、数カ月前とは別人になった自分の姿。体にたっぷりの肉をつけていた女性は、人が入れ替わったかのようにきれいになっている。この容姿だったら、周囲も認めてくれるはず。
鏡の前に立っているとき、軽い立ち眩みをおぼえる。食事制限の日々は、体に莫大なダメージをもたらしたのかもしれない。ここ数日間は、1グラムを絞り出すボクサーさながらのダイエットをしていた。
水分を取らなければ、学校に向かっている途中で倒れる。ダイエットを続けていた女性は、水を知らず知らずのうちに飲んでいた。これまでは我慢できていたけど、今回ばかりはダメだった。
水を飲んだことで、おなかは少しだけ膨れた。痩せることだけを考えていた女性は、悔しさのあまり、自身の頬を強めに叩いてしまっていた。
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