春一番
西川笑里
140字小説
「春一番」
ベランダの鉢植えが倒れた。強風が吹き荒れるたび、あの人の怒鳴り声が蘇る。逃げるように借りたこの部屋も、春一番には勝てない。
カーテンが大きく揺れた瞬間、ふと笑った。もう私は怯えなくていい。新しい春が来たのだ。
鉢を起こしながら、私は初めて風に「ありがとう」と言った。
春一番 西川笑里 @en-twin
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