第17話 原作ゲームを振り返る
シングルベッド。
自然と身体が触れあう場所で、今まで見たこともないレベルの美少女が眠っているのです。心の平穏を保つことができるでしょうか、いやできない (反語)
というわけで。
煩悩退散を促進させるため、私は原作ゲームについて思い出してみました。
名前はボク☆オト~again~
同じ世界観を元にしたシリーズのうちの一作で、たしか四作目か五作目だったと思います。
ヒロインは平民ですが貴重な『聖属性』の魔法に適正があり、魔法学園に入学してからは王太子や宰相の息子、騎士団長の息子などと恋を育むことになります。
ヒロインはどのルートにおいても悪役令嬢ミラカ(つまり私)と対立し、虐められます。
そして勇者召喚の儀式で勇者から見初められ、“聖女”としての力に目覚めたヒロインは“魔王”と戦いを繰り広げ、聖なる力で魔王を浄化するのです。
しかし、そんな魔王も結局は悪役令嬢ミラカに操られた存在でした。
ミラカの正体は千年以上生きた吸血鬼の始祖。その目的は王国を自分の手で支配すること。
圧倒的な力でヒロインと攻略対象を追い詰めるミラカでしたが、最後はヒロインと攻略対象の愛と勇気と希望の力で倒されてしまうのです。
これが大まかなゲームの流れ。
ツッコミどころ満載ですね。
そもそも、いくら聖魔法の使い手だろうと、いくら聖女であろうと、どんな“血”が混じっているか分からない庶民(ヒロイン)と、この国の最高血統である王太子や高位貴族が結婚できるはずがありません。
ゲームではどのルートでも攻略対象との結婚は盛大に祝われていましたね。ありえねぇっての。
あと、吸血鬼に操られる魔王って何ですか。普通逆でしょう。魔王を名乗るならもう少し根性を見せてほしいですね。
というか、私は千年も生きていませんし。吸血鬼ではありますが始祖なんていう大層なものではありません。
そもそも私ってお兄様を押し退けてまで女王になるつもりはありませんし。目指せスローライフな私がなぜ王国の支配なんて面倒くさいことをしなければならないのでしょう?
というわけで、原作ゲームと現実の相違点としては、
1.ヒロインが魔法に目覚め魔法学園に入学してくる。
→ さきほど覚醒イベントをぶっ壊してしまったので目覚めない可能性も。
2.学園でヒロインと悪役令嬢が対立。
→ そもそも女王になるつもりがないので、対立する理由がありません。
お兄様との恋愛? むしろ可愛い義妹ができるのは大賛成です。
他の貴族からは反対されるでしょうが愛の力で乗り切ってください。
3.ヒロインと魔王の戦い。
→ 私、魔王の操り方なんて知りませんし。
何だったら『裏ボス』である私が魔王を倒しますよ?
…………。
……よし! 死亡フラグはありませんね!
そもそも原作ゲームではヒロインが学園に入学してしばらく経ってから勇者召喚の儀式が執り行われます。
ヒロインはその時点で最も好感度が高い人物から儀式に招待され、勇者に接触、“聖女”としての力に目覚めるのです。いわゆるルート確定イベントですね。(誰のルートにも入らなければ勇者ルート突入です)
つまり、ヒロインや私が学園に入学する前に勇者召喚の儀式が執り行われた時点で、もう乙女ゲームのシナリオは狂っているのです。
安心ですね。
満足した私はすやすやと眠りについたのでした。
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