31話
「やっぱり、ラビルちゃんも詳しくは知らないか……」
「え、え、どういう展開?」
少し家を留守にしていた間、突然の急展開についていけないわたしにトーイ君が説明してくれた。
風邪を引いたのがわたしだと勘違いして心配で治療に来てくれたミラーナをわたしが不在で兄が代わりに相手をして、その際に婚約者になったと。一番気になる部分はミラーナから聞けなかったみたいなので、これは帰宅したら兄に即尋問をせねばいけないようだ。
「……でも、ラビルちゃんが正しかったのかもしれないね」
「え?」
「あの二人の事だよ。前世は忘れて、今世を生きた方が良いんじゃないかと思ってたけど……どうやら、俺の考えは間違ってたみたいだ」
「! それじゃあ……!」
「今世こそ、あの二人を幸せにしたいんだろ? これからは俺も協力するよ」
「やったぁ! ありがとう、トーイ君!」
嬉しさのあまり、前世のクセでギュッとトーイ君に抱きつくと慌てた声が頭上から聞こえるけど、あえて聞かないフリをする。前世でもこうやってたまに抱きついた事はあったけど、その時ははいはいと頭を撫でられて完全な子供扱いだったけど、今世は違う。
ぺったんこだった胸は今では同年代の女性より少し立派なくらいの成長ぶりだ、少しくらいは大人の女性扱いをしてもらえるかなとちらりと頭上にあるであろう顔をちらりと見上げてみる。
すると、顔を真っ赤にしたトーイ君と視線が重なる。
期待していた以上の反応で自ら望んだはずなのに、釣られてわたしまで顔が熱くなってくる。
「ラビルちゃん、俺は、」
「おーい! まだ話終わらないのかー!」
トーイ君とアーシックの言葉が重なる。
その声を聞いて何かを言おうとしていたトーイ君は口を閉じて、優しく頭を撫でられる。それは前世の時と似ていて、せっかく進んだと思った一歩がまた消えてしまったようで胸が痛む。
「そろそろ畑に行こうか。また、ラビルちゃんの家に遊びに行くからミラーナ達の話は今度しようか」
「……うん、そうだね」
そっと離れていく体温に寂しく思いながらも一緒に畑へと向かう。
(……トーイ君、あの時なんて言おうとしてたんだろう……)
畑に到着してからアーシックが得意げな顔で地の術を披露して、整地や畑仕事を手伝って子供達が大喜びしているのを横目にぼんやりとラビルは考えていた。時折、ちゃんと見てるか! とアーシックの声には適当に相槌をしながらも頭の中はトーイの事で一杯だった。
それから、陽が暮れるとトーイは子供達を施設に送り届けるからと先に帰って行った。それを見届けてからわたし達も屋敷へと戻った。
帰りの道中、アーシックが色々な話をしていた気がするけど先程のトーイ君の言葉が気になったわたしの耳はそれを聞き取れなかった。
そんなわたしの事を、アーシックが悲しそうな表情で見つめているのにも気付かずにーー。
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