16話
暑い。暑い。……暑い?
ハッと目を覚ますと、辺りは火の海になっていた。
そして、目の前には4歳になったばかりの
戸惑っている時間すら惜しい。
『謙太! 早く外に出るぞ!』
『あ、と、ともおにぃちゃん、ぼく、転んじゃって……』
『俺がおんぶするから、早く乗って!』
震えた手と足で覚束ない謙太の体を背負い、まだ辛うじて火の広まっていない道を通ってひたすらに外を目指す。
外に向かっている道中で詳しく謙太から話を聞くと、あみに頼まれて俺の様子を見に来たら俺がうたた寝をしていた。
代わりに薪を足そうとしたが重くて持ち上げられず、外から木の枝を拾ってきて燃やす作業を繰り返していたところ、火力が上がり過ぎて驚いた拍子に火の付いた枝を放り投げてしまい、それが引火したようだ。
まだ火が広がっているのは俺と謙太の居た暖炉のある部屋だけだったが、古臭い施設なので恐らく全焼までそんな時間はかからない。
ごめんなさい、ごめんなさいと謙太は涙を流しながら何度も何度も謝罪の言葉を口にする。悪いのは謙太ではなく、厳重に注意しなければならない火の番をしていた俺がうたた寝をしたのが原因だ。疲れているからと俺を寝かせてくれようと気を遣った謙太は悪くない。
そう伝えると、やっと安心したのか泣き疲れたのだろう、背中から小さな寝息が聞こえてくる。
無事に謙太を背負って外に出ると、間木さんやあみ、子供達が出迎えてくれた。
「とも! 謙太君! 無事で良かった!」
「あぁ、子供達は全員居るのか?」
「えぇ、確認したから大丈夫」
あみが半泣きな顔で駆け寄って来て、安堵の息を吐く。眠ってしまった謙太をひとまず、安全な場所へ寝かせて皆の無事を聞けば間木さんの肯定に安心する。
「でも……」
「でも?」
無事な筈なのに暗い顔の間木さんに嫌な予感がする。
「紅輔君と朱音ちゃんが見当たらないのよ」
「「え!?」」
俺とあみの声がシンクロして響く。パニックになる子供達を宥めるのに必死で、あみも二人は居るものだと思っていたらしく、驚きの声を上げる。
「あ! でも、ほら、朱音ちゃんは眠っていても紅輔が夜以外に寝る事はないし、もう起こして逃げてるだろうからすぐ来るんじゃないか?」
どんどん青ざめていくあみの様子に気付き、フォローしようとするがあみの顔色は変わらない。
「……私……紅輔君にちゃんと寝るように言っちゃったの……」
「え?」
「紅輔君が寝不足で心配で、それで」
俯き気味になっていた顔をガバッと上げてあみが言う。
「私……助けに行って来る!」
「は!? ばか、あみ! そんなの無理ーー」
俺の言葉より早く、あみは火に包まれつつある施設の中へと駆け出していく。
「あのバカ! 間木さん! 子供達をお願いします!」
「え!? ちょ、ちょっと! 危ないからもう行っちゃダメよ!」
間木さんの制止の声は聞かず、俺もあみの後を追うように施設の中へと入った。
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