第43話
正月も冬休みも穏やかに過ぎ、3学期が始まった。
雪野先輩初始め公立高校受験生は『冬休み遊んでしまって既に諦め組』の、やたらノウテンキな連中以外は皆少し
冬休み満足いく準備が出来た少数派は、精悍な自信に満ちた表情だ。
結果の如何に関わらず、自分なりに力を尽くしたという自信だろう。再来年の私には到底持てない自信かもしれない。
何せこの冬休みの僅かな宿題ごときに溜め息をついていたのだから。
マッタリのんびりしている1年生も2年生も、3年生全員の結果が出る迄はあまり騒げないと無意識に感じていた。
演劇部は来年の文化祭迄発表の機会が無い。
それ迄の準備を始めるにしても、まだ乗り気になれない時期である。
取り敢えず声出しや演技の訓練しかやる事が無いので、顧問の先生方と今後の目標やテーマを話し合い、戯曲の勉強会等をやった。
他に発表の場を設けようかという提案も有った。
私の劇団公演出演は飽くまで臨時で、入団したわけでは無いと経緯を説明すると、先輩達はとても
そして、この演劇部を盛り上げようという意識が燃え始めた。
映画制作案も出され、私も可也乗り気になったが、経費がかかり過ぎることで
でも私の『いつかやってみたい事箪笥』の引き出しにしっかり仕舞われた。
当然話し合いにはピーターも参加しており、映画制作には身を乗り出して興味を示した。
「
もし此処でやらなくても『いつか私がやってみたい事箪笥』には仕舞ってあるから!」
と囁くと小躍りして喜んだ。
私にしか認知されないピーターが、どうして舞台や映画に入れ込むのか不思議だったが、考えても無意味なので『ピーターはそういう奴』とレッテルを貼ることにした😆
共通の目標と志を持つ演劇仲間達との話し合いは、実に楽しいものだった。
顧問の先生方と、授業の時とは違う素に近い対話が出来ることも新鮮だった。
その頃、二人がフィアンセ同士だったことも知ったのだが、先生方二人の仲については、皆一切知らぬふりを通した。
それが礼儀だと暗黙の了解をしていたからだ。
そういう先輩達の無言の指導は、尊敬すべきものが有った。
そんな空気が、この部の雰囲気全体を良くしていたのだと思う。
受験生、正確には雪野先輩の心配に翻弄されること無く日々は流れ、いよいよ公立高校の受験結果発表の日が来た。
つづく
挿し絵です↓
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