第25話
結局チョンは、私が高校生になる迄の長寿を全うした。
私が、チョンに
素手の場合は、舐められることが刺激になって湿疹が
兎に角湿疹の肌に触れられること自体ゾッとすることだったのだから、舐められるなんてのは恐怖に近かった。 いや、恐怖『だった』と言い切れる。
そして匂いに過敏な私にとっては、舐められたことで匂いが残ることにも耐えられなかった。
舐められることを極力避けていたが、うっかり舐められてしまった場合は、必ず入念に洗った。
私のそんなピリピリした神経を感じて、チョンもピリピリしていたのかもしれない。
少なくとも、パパやママよりスキンシップは足りていなかったと言える。
でも私にとっては死活問題だったのだ。
気の狂いそうな痒みや全身鳥肌立つヒリヒリ感を避ける為の防衛本能だったのだから。
決して犬が嫌いだったわけでは無い。
犬を始め動物は大好きだったけれど、それとは別次元で避けられない衝動だったのだ。
本当は何も気にせず舐められたいし舐めさせてやりたかった。
どうして私にはそれが出来ないのか、こんなに可愛いのに舐められそうになると途端に避けてしまう自分に落ち込んだりした。
それが出来るパパやママが
ピーターはそんな私の潜在意識まで見抜いていた。
だからチョンに苛立ち、自らチョンの指導をしたのだと後からピーターが話してくれた。
大人になって、湿疹等の経験が無い人にそういう事を話しても全く理解してもらえないことが分かった。
一応同情のポーズは見せてくれるのだが、内心「本当に動物が好きなのなら何だって平気な筈! 本当は動物嫌いなんでしょ」という固定観念、或いは偏見で捉えている視線をよく感じたものだ。
そういう人の方が偏った視線しか持てない
好きなのに距離を置かざるを得ない気持ちなど分かろうとしないし実際分からないだろう。と、今は既に諦めている。
つづく
挿し絵です↓
https://kakuyomu.jp/users/mritw-u/news/16818622170719325084
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