第24話
チョンはどんどん大きくなった。
犬の成長がこんなに早いのかと驚くばかりだった。
スピッツ系の雑種だったチョンは、次第に神経質な性質を顕著にしてきた。
鳴き声もキャンキャンして、ちょっとヒステリックな部分も見えるようになった。
私はチョンから対等に見られていたようである。
外に繋いでいた時、あまりうるさく鳴くので怒ったところ、左手をガブリと噛まれたことが有る。
包帯の上からだったが、手の平の包帯の隙間から傷がつき、今でも薄っすら
その時のピーターは、鬼の形相でチョンの足に噛みついていた。
チョンは私の手を放してピーターが噛みついた箇所を盛んに
私の悲鳴を聞いて駆けつけたママは、
「チョン! 何やってんの!
舐めるのはアンタの足じゃ無いでしょ!
アイラの手を舐めなさい!」
と、訳の分からんことを言っていたけれど、私的には正直舐められNGだった。
だって……湿疹が益々痒くなるし痛くもなる………何だかなぁ………
チョンにとっては、何と言ってもやはり食事を貰えるママが一番の御主人様だったようだ。
ママに対するチョンの
そのくせ、チョンを洗って暫く室内に居る間などは、猫のように必ず私にくっついて寝たりする。
チョンにとって私は喧嘩友達だったのかもしれない。
喧嘩する程仲が良いって言うし………🤔
私の手をガブリ事件の後は、出来るだけ私もチョンと散歩に行き、食事も私の手で出すようにした。
両親の提案である。
私は手を噛じられたからと言ってチョンを嫌いにはならなかったし、チョンとの散歩で猿部分も満足出来た。
また、食べ物に対する貪慾さからの激しい尻尾振りだとしても、全身で喜ぶチョンを見るのは気持ちが良かった。
ガブリ事件以来、チョンの頭や背中に乗って、チョンの毛を馬の手綱のように操作しながら、乗馬ならぬ乗犬しているピーターの姿をよく見かけた。
ピーターなりにチョンの
時々、尻尾に掴まってわざと尻尾を振らせ、キャッキャ言いながら遊具としてチョンの尻尾を堪能していた。
時には、尻尾の先をチョンの目の前にチラつかせ、チョンが自分の尻尾を追いかけてグルグル回る遊びも楽しんでいた。
憐れなチョンは、狂気じみた瞳で際限無く自分の尻尾を追いかけるのだった。
そんな時のピーターは、小悪魔のようなドヤ顔をしていた。
つづく
挿し絵です↓
https://kakuyomu.jp/users/mritw-u/news/16818622170655526941
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます